▽雪男視点


僕に安らぎを与えてくれる人ができた。彼女は優しくて笑顔も温かくて、まるで春の光のような人。彼女が口にする言葉一つ一つはまるで魔法の言葉のようで、聞いている僕を笑顔にしてしまう。本人はいたってまじめに話をしているのだろうけど、興奮気味に話す彼女の顔は必死でつい笑ってしまう。すると彼女は頬をぷくっと膨らませて、「聞いてる?」と僕の顔を下から覗き込んでくる。その顔がまた面白くて、笑いを誘う。

「雪ちゃんっ、話聞いてないでしょ?」
「そんなことないですよ、しえみさん。しえみさんの話はどれも興味深いものばかりなので、とても楽しいです」

僕が言った言葉を聞いてもまだ納得していない様子のしえみさんは、僕の顔をじっと見つめている。何でしょうか、といった風に首をかしげるとしえみさんはふふと小さく笑って時計を指差した。短い針が8時を指していた。ちょうど祓魔塾に向かう時間だ。しえみさんは「話しているとあっという間だね」なんて残念そうに笑って言った。けれどしえみさんはすぐにいつもの優しい笑顔に戻り、「行ってらっしゃい」とキスをくれた。頬に確かに感じるやわらかい感触。そして優しい甘い香り。しえみさんはいつでも色んな形で僕に安らぎを与えてくれる。自然と笑顔になった僕は、しえみさんの頬に仕返しのようにキスをして家を出た。

「行ってきます、しえみさん」


安らぎを与えてくれる人
(いつまでも僕の傍にいてください)


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