▽燐視点


しえみは出会ってすぐの頃と比べると随分強くなったと思う。戦闘面もそうだけど、何より精神面が強くなった。すぐに泣かなくなったし弱音も吐かない。俺としてはしえみの成長は嬉しいもののはずなんだけど、素直に喜べないのは、多分。しえみが俺を頼らなくなったから。

「燐!おはよう!」

俺が祓魔屋に顔を出すとしえみはやわらかいふわふわした、塾にいた頃と変わらぬ笑顔で迎えてくれた。そして部屋にいれてくれて、温かいお茶と和菓子を出してくれる。そういう優しいところは変わってなくて、それだけで俺は嬉しくなる。しえみも俺の笑顔を見て、嬉しそうに頷いた。

「燐は、どうして毎日私に会いに来てくれるの?」
「え、あ、それは、」
「それは?」

しえみは俯いた俺の顔を覗き込んできた。あまりの近さに胸がどくんと高鳴って破裂しそうになる。近くにある唇は薄い桃色で、形も整っている。やわらかそうだな、なんてのんきに思ってたらキスしようとしていた。ギリギリのところで俺は我に返り、しえみから距離を取ろうと後ろに下がるとしえみに制服のネクタイを握られ引き寄せられた。

「どうしてか教えてくれるまで、ずっと離さないからね…?」
「…」
「ねえ、燐。どうして?」

そう聞いてきたしえみは少し頬を赤らめていて、瞳もうっすらと涙が浮かんでいる。俺の言葉をしえみは待っている。正直な俺の気持ちを伝えたい。俺は一つ大きな深呼吸をして、言葉を絞り出す。

「…しえみが好きだ。だから…会いに来てる。迷惑だったか?」
「…私も、好きっ。迷惑なわけないよ!」
「そ、っか。じゃあ、俺と、結婚してくれる?」

付き合ってもないのにいきなり結婚なんて引くか?けど、俺はしえみの一番近くでしえみを見ていたい。好きだから、困ってたらいつでも助けられるように近くにいたい。しえみは涙を流しながら俺に笑いかけてくれた。それは久々に見る泣き顔だった。思わず目を言葉を失うくらい綺麗で、俺はただしえみを見つめていた。しえみは俺の頬に触れるだけのキスをして、言った。

「は、い…!」

(生涯キミを守りたいから)


誰よりも君に近い場所にいたい

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企画『Marry Me!』様提出


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