前のお話


昼休みになるなり、消えた二人を志摩は見つけてしまった。

「んー?子猫さん、あれ見えます?」
「…坊と…杜山さん?」
「みたいや。いないと思っとったらこんなとこにおったんやなあ」

にやにやと笑いながら、勝呂としえみに近づく志摩を子猫丸は止めた。二人の邪魔をしてはいけない、そう思って止めた子猫丸だが志摩が言うことを聞くはずもなく。

「ええから黙って見とって。邪魔はせえへんから」
「……」

にっこり笑顔で言われて、子猫丸はおとなしく引き下がる。だが内心心配で仕方なかった。けれど、邪魔はしないと言った志摩を信じたい気持ちもある。黙って見ることを決意した、子猫丸は顔を上げて志摩を見た。するとそこには携帯を構えてる志摩の姿。昼寝中の勝呂としえみを撮っている。

「し、志摩君?何してはるんですか?」
「見て分かるとおり、坊と杜山さんのお昼寝ショットを…」

志摩が撮ったばかりの写メを見せながらそう言ったとき、勝呂が目を覚ました。鋭い視線を感じた志摩がギギギギとロボットのような動きで振り向く。勝呂は今まで見たことないような笑顔を志摩に向けていた。

「お、おはよーさん。坊」
「おはようさん、志摩。…ところで、今何しとったんや?」
「え、今、何しとったって…せ、生物観察?」
「生物観察…?お前、そんな趣味ないやろ」
「今まで秘密にして…いた!ちょ、坊、っ。いた、痛い!あかんて、か、堪忍!坊、堪忍して、っ」

志摩の背中に体重を思いきりかける勝呂。突然のことで何にも構えていなかった志摩は変な状態で体が折れ曲がり、激痛が走る。涙目になりながら、痛いを連発する志摩に勝呂はため息をつき、解放してやった。志摩はしぶしぶ写真を撮ったことを話し、勝呂はそれをすぐ消すように言った。しかし、志摩はそれを奥村兄弟や出雲に送信してしまったと口にした。

「…何してるんや志摩あああ!」
「いやー…坊と杜山さんの進展報告を…」
「アホ!よりにもよって奥村兄弟に…。もう終わりや…俺は今日で死ぬんや」
「ちょ、坊!しっかりして下さいぃいい!」

頭を抱えてうんうん唸っている勝呂に志摩と子猫丸はどうすることもできなかった。どうしようかと考えているうちに、凄まじい殺気を身にまとう者たちが勝呂の下にやってきてしまった。

「すーぐーろーくーん?」
「お、おく、おく、む、ら!」
「しえみと…しえみと昼寝なんてうらやましすぎんだよ!」
「校内での不純異性交遊は認めませんよ?勝呂君」
「不純異性交遊?!昼寝って入るんですか?!」
「入ります。不純です」

雪男のこれでもか、というほどの嫌な笑顔に勝呂は気を失いそうになった。勝呂は最後の頼みの綱であるしえみの方を見た。しかし彼女はこの状況でも気持ちよさそうに眠っていた。起こすのも悪い気がして、起こすことができず勝呂は結局そのまま奥村兄弟に連れられて行ってしまった。そして勝呂が戻ってきたのは夕方のことだった。そのころ、しえみはまだ寝ていた。


不純異性交遊で現行犯逮捕です


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