雲ひとつない澄んだ青い空。気持ちの良い風が勝呂の頬を撫でた。大きな木に背を預け、足を伸ばして座る勝呂の足の間には、足を伸ばしたしえみが座っていた。しえみは背を勝呂の体に預けて、上を見上げた。

「勝呂君、気持ちのいい天気だね」
「そうやなー。風も気持ちええから、昼寝するにちょうどええかもしれへん」

そのとき、さあと優しい風の音がした。木々がざわざわと揺れる。心地よいその音に勝呂としえみは癒された。頬は自然と緩み、しえみの可愛らしい笑い声が勝呂の耳に入った。きれいなソプラノの声に、勝呂はどきりとした。

「…杜山さんて、ほんまかわええな」
「え、あ、ええ?!す、すすす、勝呂君?」
「あ、え、あ!そ、その、その変な意味じゃ、ほんま、かわええなって思って、うあー…俺何言ってんやろ意味わからん」

自分の言った言葉に今さら恥ずかしがり、ぐだぐだと喋る勝呂。真っ赤な顔してあわあわしている勝呂は、しえみから見ると可愛く見えた。最初は怖いと思っていた勝呂にこんな感情を持つことになるなんて、としえみは一人で小さく笑った。勝呂はしえみが笑ったことに気づき、「何わろてるん?」と聞いてきた。

「あのね、勝呂君可愛いな、って思ったの」
「はぁ!?可愛いって何やそれ。かわええのは杜山さんや」
「私より、勝呂君のほうが可愛いよ絶対!真っ赤な顔が、すごく可愛い」

しえみはふにゃりと笑いながら、言った。そして体を少し下にずらして、上を見上げると青い空より先に勝呂の顔が視界に入った。真っ赤だった顔は、いつもの勝呂に戻っていた。勝呂の瞳は真っ直ぐしえみを捕らえている。そのときに初めて意外と距離が近いことに気づく。しかし距離を取ろうとはせず、お互い見つめあった。

しばらく見つめあった後、勝呂はゆっくりとしえみの唇に己の唇を重ねた。軽く触れるだけのキスだったが、それだけで二人は十分だった。

「杜山さんトマトみたいや」
「勝呂君イチゴみたい」

顔が真っ赤に染まるお互いの顔を見て、二人は同時にそう言った。


イチゴな貴方とトマトな私

続編


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