▽大学生パロ(同棲中)


志摩にはやりたいことがあった。それは、ドラマなどで新婚夫婦がするあのベタな会話。

『お帰りなさい、あなた。食事にする?お風呂にする?それとも…』
『お前に決まってるだろ?』

と、ドラマでよく耳にする胸焼けがしそうなほど甘ったるい台詞。普通だったらそんな台詞は夫婦の間でもありえない。けれど、しえみにやらせたら絶対に可愛い!という自信が志摩にはあった。そして、あわよくばそのまま抱いてしまおうという作戦だ。いつもと違うシチュエーション。エプロン姿の彼女を玄関で抱く。想像するだけでも、興奮してくる。

「あー…あかん。想像するだけでも勃ってしまうわ」

家で夕食を作りながら自分の帰りを待つしえみの姿を想像して、志摩はふにゃと頬が緩んだ。そしてそのあとずっと緩みっぱなしだった。

***

志摩は家に着くと、すぐには入らず自分の家だと言うのにインターフォンを押した。そして家のドアをゆっくりと開けると、パタパタと可愛らしい足音を立てて彼女が現れた。淡い桃色のエプロンに身を包んだ彼女は、まるで新妻のようで可愛い。ふにゃりと笑って、彼女は志摩に言われていたとおり例の台詞を言った。

「え、えっと…ご、ご飯にします?お、風呂にします?そ、そそ、それ、それとも…わ、私に、しま、すか?」

かあと真っ赤になりながら自分の言うとおりに台詞を言ってくれた彼女は、言葉にできないぐらい可愛かった。瞳はうるうると潤み、志摩を上目遣いで見つめる。志摩は我慢の限界だった。想像を上回る可愛さに、一発でやられた。

「…かわええ…食べちゃいたいぐらい、かわええ。ほんま、食べてもええ?」
「駄目、です。ご飯、冷めちゃいますよ?」
「あかん。俺がもう我慢できへん。ええやろ?しえみちゃん」

強く強く抱きしめられた状態でそう言われ、抵抗などしても意味がなかった。しえみは、「もう…仕方ないなあ」と言いながら小さく笑って、そして頷いた。


私とあなた、愛し愛され
(愛して、愛されて、そして月日は流れていく)


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