▽パーチェ視点


お嬢はいつも甘い匂いをさせて、俺たちの前に姿を現す。その甘い匂いにどれだけの男を魅了しているかもしらず、そして時折見せる可愛い笑顔に俺たちが骨抜きになっているのも知らずに、優しい微笑を浮かべて俺たちの名前を呼ぶ。どこか甘ったるい響きがあるお嬢の声に、俺は胸が痺れるのを感じた。パーチェ、ただ俺の名前を呼んでいるだけのはずなのに、胸がじんじんと熱くなっていく。これが好きってことなのかな、なんてのん気に考えていたら、いつの間にかお嬢の顔が近くにあって、すごくびっくりした。

「パーチェ?体の調子でも悪いの?」
「あ、ううん!何でもないよ、俺はいつもどおり元気いっぱいだから!」

無理やり笑って誤魔化そうとしたけれど、お嬢には心を読む力があるから無駄なことにいまさら気づく。でもお嬢は読む気配がなくて、思わず首を傾げてみればお嬢は「やっぱり変よ」と小さく呟いて俺の額に自分の額をくっつけた。まるで子供の熱を測るように、あっさりとそれをやってのける。俺ばっか意識していたのかと思ったら何だか恥ずかしくなってきて、顔が熱くなる。きっと、ていうか絶対今俺の顔は真っ赤に違いない。その証拠にお嬢が俺を見て「顔が赤いのに熱はないなんて…」とか言ってるし。

「お嬢!俺本当に大丈夫だから心配しないで!」
「うん…パーチェがそう言うなら。でも無理はしないでね、約束よ」

お嬢は俺の言葉にそれ以上追究はしないでくれた。ただ心配そうに顔を覗き込んで、小指を差し出してくる。

「でもパーチェが隠れて無理するかもしれないでしょ?だから、指きりするの」

何か分からなかった俺が首を傾げていたら、お嬢はそう説明してくれた。どこまでも優しいお嬢に思わず頬が緩んだ。お嬢は俺の緩んだ頬を見て、指切りは子供っぽかったかな、とはにかむ。「そんなことないよ」と言えばお嬢は安心したように笑って、小指にきゅっと力をいれた。

「約束は絶対よ、パーチェ」
「うん。…それに俺とお嬢の二人だけの秘密だね」

こそこそと悪巧みをする子供のように内緒話をする俺たちに、お嬢を探し回るルカの声が聞こえた。俺たちは最後にもう一度「約束!」と言って笑いあったあと、それぞれの仕事に向かった。
お嬢と指きりした小指はまだ熱を持っているかのように、熱くて、ほんの少しだけ甘い匂いを漂わせていた。一歩進めたような気がする関係に、俺は一人頬を緩ませ小指に一瞬だけ口付けた。


俺と君、二人だけの秘密

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パフェリかわいいまじ天使。


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