▽Aクラスと渋谷と春ちゃんで王様ゲーム


王様だーれだ、その言葉は男女の声が何重にも重なって聞こえた。その台詞からして、よく合コンなどで行われる王様ゲームをしているのだろう。しかし場所は校内の空き教室、恋愛禁止の学園内でよくやるものだ。来栖は呆れながらその教室の前を通り過ぎようとしたのだが、一人見知った少女の声を聞き思わず足を止めた。

「七海…?」

彼女は純粋で素直で、男慣れしていなくて、王様ゲームなどをするような性格ではない。無理やりやらされているのか、と一番にそう思ったが声は嫌がっているようには聞こえない。むしろそれを楽しんでいるかのように、笑い声まで聞こえてくる。来栖には何が何だかよく分からなかった。いつも自分が見ていた少女は、仮の姿だったのだろうか。いろいろ考えたが何も思いつかない来栖は隙間から様子を伺うことにしたのだが、その隙間から見えたものは、まったく予想をしていない人物たちだった。

「…那月?!それにトキヤに真斗も!」
「わあっびっくりした〜。翔ちゃん、驚かさないでください〜」
「いやいやっ驚いたのは俺の方だ!何やってんだよこんなところで!」
「あ、それは俺から話すよ。実は、」

それから一十木はことの始まりを詳しく来栖に説明し始めた。内容は簡単に言うとこうだ。教室で渋谷と七海は男性のタイプについて話していた。そのときに合コンに言ったことあるか、という話になりそして七海は王様ゲームというものを知る。その王様ゲームに興味を示した七海のために渋谷は一十木、聖川、四ノ宮を巻き込み王様ゲームを行っていたらしい。空き教室を使っていた理由については、邪魔が入るのが嫌だからだと言う。来栖はその説明に納得しながらも、そのゲームの内容が気になり聞いてみる。

「ああ、別に大した内容じゃないわよ。ねぇ春歌?」
「う、うんっ。楽しかったです」
「だ、か、ら!内容を教えろっつってんだよ!」
「別に大した内容じゃないわよって言ってるじゃない。一つ例に挙げるなら、春歌の好きなところは、とか」

それを聞いた瞬間来栖の顔が引きつったのを渋谷は見逃さなかった。そしてだんだんと頬を赤くする男性陣3人と七海を見て、来栖の顔色は完全に悪くなっていた。先を越された、という悔しさが来栖を苦しめる。悔しそうな来栖の顔を見てただ一人渋谷だけは楽しそうにその様子を眺めていた。


王様ゲームは序章に過ぎない
(ほんっと楽しいわ、誰が春歌をゲットするのか楽しみね)


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