▽ぬるいですが性的表現あり


駄目だと言っても一十木はやめようとはしなかった。今やめれば、春歌を傷つけなくてすむということを分かっていたのに、何故止めないのか。一十木はもう自分の欲望をコントロールすることができなくなっていた。コントロールする術を持ち合わせていなかったのだ。
春歌を思うがままに愛でて、泣き出せば彼は優しくキスをする。春歌はその度に胸をきゅうと締め付けられるような痛みを感じる。それが恋している証拠であるかのように、優しくキスをされる度に胸は締め付けられる。何と言えばいいのか、春歌はただ黙って音也を見つめた。一十木はそのまっすぐな瞳を真正面から受け止めながらも残酷な言葉を口にする。「ごめん」切なそうに、苦しそうに一十木は呟き行為を続けた。

「春歌、」
「お、っとやく、」

春歌の名前を呼んだあと胸を乱暴に揉み、首に噛みつくように口づける。まるで吸血鬼のように一十木は口づけた首元を強く吸う。すると春歌は小さく声を漏らした。そしてそれは少しずつ大きな喘ぎに変わっていく。一十木はそれを聞くと苦しそうな笑顔を見せた。自分で自分を苦しめている一十木を見ている春歌も苦しくなる。どうすれば、一十木を苦しみから解放してあげられるのか。春歌は抱かれながらそればかりを考えていた。

「どうすれば、あなたを、」
「はる、か。ごめん、本当にごめん、っ」
(謝らないで、余計に苦しくなるだけなの)

涙を流して行為を続ける一十木の頬を春歌は優しくそっと撫で微笑んだ。あなたの苦しみを私も同じように背負うとでもいうかのように。


交わらないふたつの世界
(あなたと私が笑顔でいる未来を見つけたい)

title by 確かに恋だった


BACKNEXT


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -