▽にゃんにゃんにゃんの日/一之瀬視点

俺の目の前で可愛い耳をぴょこぴょこさせている秋。こんなに可愛い猫耳秋がいるというのに、手を出せないなんて。これはなんという拷問ですか。手を伸ばせば触れる距離にいるのに触っちゃいけないなんて、そりゃないでしょ。俺どんまい。というかそもそも何でこいつらは俺の邪魔ばかりをするんだろうか。

「そりゃ一之瀬に渡すなんて危険すぎるからに決まってるだろう」

さも当たり前のように言われたら、俺傷つくんだけど。さっきからずっと同じことばっかり言ってるし、ものすごく睨まれてるし。俺なんかした?皆が思っているほどそんな危険人物じゃないと思うんだけど。…そりゃあ秋のこと大好きだし、いろんなことを秋にしたいとか思ってるけど、嫌がる秋を無理やり、なんてことはしない。
それを伝えてみたら、皆呆れたようにため息をついた。え、何で、

「一之瀬、お前今の自分の顔鏡で見てきたらどうだ」

呆れ顔の土門に言われた。その横では豪炎寺までもが頷いている。今俺はどんな顔をしているんだろう。危険視されるほどの顔ってどんな顔なんだろう。考え込んでしまった俺の目の前に、音無さんが鏡を差し出してくれた。それを受け取って鏡を覗いてみれば、映ったのは頬が緩みきった情けない顔をしている俺。これじゃあ皆が俺を危険人物扱いするのも無理はない。なんて妙に納得してしまった。

「…秋可愛いんだもん。頬も緩んじゃうよ」

あははと笑って言えば皆呆れてため息をつく。そして土門が「お前はやっぱり危険だ」と言って俺から秋を庇うようにして後ろに隠してしまった。ああ可愛い秋が見えない。返してよ、と手を伸ばした瞬間視界が突然白く光って、気づけば自分の部屋の天井が視界に入った。

「あ、れ。何これ夢オチ?」

呆然としていた俺の耳に、俺を起こしに来た円堂たちの声が聞こえた。


彼は彼女を想いすぎたようです


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