▽同窓会ネタ/誰か×秋

雷門中学を卒業してから随分と月日が流れたある年の初め。秋の下に一通の手紙が届いた。それは雷門中で行われる他校と合同の同窓会のお知らせであった。決しては上手くはない筆跡からして円堂の手書きだということがすぐに分かる。秋は思わずクスリと笑いながらその手紙を持って家に入った。するといつの間にか起きてきた旦那がどうしたんだと、訪ねてきた。

「ふふ…同窓会楽しみだなあって思って」
「へえ、久々だからなあいつらに会うのは」

秋の言葉に彼も嬉しそうに笑った、その瞬間部屋で寝ていた子供が泣き始めた。秋は急いで子供の下へ駆け寄りよしよし、と泣き止ませ始める。彼はその様子を愛しそうに見つめて、幸せそうに微笑んだ。

同窓会当日になって子供を預かってくれるはずだった友人が高熱でダウンし預けられなくなった。今から別の人を探すのも大変だし迷惑だろうと秋は連れて行くことにしたのだが、彼は嫌そうな顔をした。子どもを同窓会に連れて行ったら面倒なことになることは分かっているからだ。しかし預けられる場所がないのだから仕方ない。彼は仕方ねえなと言って子どもを連れて行くことに賛成した。
秋と彼は同窓会のメンバーには結婚したことは伝えてない。そのため子供がいることだって知らない。まさか同窓会で子供を連れて結婚報告をすることになるとは二人とも思っていなかっただろう。今から周りの反応が楽しみでならない彼は、秋にバレないようににやりと口角を上げた。

***

「楽しみね。みんな驚くだろうなあ…」
「そうだな。まさか俺とお前が結婚するなんてな」

同窓会の場所である地元の居酒屋に着くと、彼は突然そう口にした。彼のその言葉に秋は「確かに」と言ってクスクスと笑い出す。彼もつられるように笑うと居酒屋から賑やかな声が聞こえてきた。呂律が回っていない叫び声などからすると、もうお酒を飲んでいるらしかった。彼は嫌な予感がしたのか一つ大きなため息をついて、ゆっくりと居酒屋に足を踏み入れた。
その瞬間わあと大きな歓声が上がる。

「ふどーひしゃしぶり〜。元気だったか〜?」
「うっわ酒くさっ!昼間から飲みすぎだっつの!」

酔っ払った円堂や鬼道が突然肩に腕を回して、体重をかけてきた。そのしつこい絡み方に不動はこめかみをピクピクさせた。今にも怒りだしそうな雰囲気である。だが円堂も鬼道も気にすることなく、しつこく不動に絡んでくる。
不動がそろそろ我慢の限界、というときに秋がちょうど居酒屋に入ってきた。秋は円堂たちに向かって昔と変わらぬ優しい笑顔で「久しぶり」と口にした。静まり返る店内。しかし次の瞬間ものすごい歓声が店内に響き渡った。

「木野先輩ー!!会いたかったです!!」
「木野すげえ綺麗になったなー」

容姿を褒められた秋は頬を赤く染めて困ったように微笑んだ。しかし春奈たちの視線が腕の中の子供に注がれていることに気づくと、秋は嬉しそうに笑いながら結婚と出産の報告をした。

「冗談…ですよね?」
「まさか、不動と木野が結婚…?子供までいる…だと?」
「残念ながらこれが現実だ」

フフンと憎たらしく笑い、羨ましいだろう?という風に秋の肩を抱く。秋は「もう…」と言いながらも幸せそうに微笑み、腕の中にいる子供も嬉しそうにきゃっきゃっと笑う。その幸せそうな顔を見たら、文句など言えるはずもなく。同窓会に参加していたメンバーは失恋決定してしまったが、仕方ねえなと笑って彼らを祝福してくれた。意外に素直な彼らに不動は驚きながらも、サンキューと笑って礼を言った。


君の幸せが俺たちの幸せだから

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音羽さんへ。キリ番報告ありがとうございました。少しリクエスト内容とは違うものになってしまいましたが、気に入っていただけると嬉しいです。誰と結婚したかはあえて最後まで書かないようにしました。リクエストありがとうございました。


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