▽シュウ視点

君が天馬ばかりを見るから僕は、辛くて苦しくて、切なくて。その苦しみから逃れたくて、僕は君を押し倒してしまったのかもしれない。君が僕の下で切なそうに微笑む理由が分からない。どうして、どうしてそんな顔するのさ。
僕はただありのままの僕を受け入た空野葵という人物を自分のものにしたかっただけなのに。

「シュウ、泣いてるの…?」

彼女が消え入りそうなぐらい小さな声で呟く。僕が泣いている?そんなわけがない。何で僕が泣かなくちゃいけないわけ。泣く理由なんてどこにもない、そう思っていたのに僕の頬を生暖かい何かが伝った。涙、だった。何で涙をこぼしているのか自分でも不思議だった。でも君は僕が涙を流している理由を知っているのかのように、大丈夫だよと微笑む。それから僕の首に腕を回して、引き寄せた。

「あなたの悲しみを半分でもいいから受け止めたい」
「な、に言って…?」
「あなたの苦しみを少しでもやわらげたいから」

そう言って強く抱きしめた彼女の頬は涙で濡れていた。どうして、そんなに優しくしてくれるんだろう。どうしてそこまでしてくれるんだろう。僕のこと何とも思っていないなら、期待させないでほしい。こんなことされたら勘違いしちゃうよ、葵。
僕の心がグラグラと揺れているのに全く気付かない彼女は、ただただ僕の体を強く抱きしめて涙が枯れるまで一緒に涙を流してくれた。


喜びも悲しみも半分こ


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