▽死ねた/病み注意/茜視点

誰よりも綺麗だった彼は死んだ。私が中学校生活で必死で追いかけ続けた彼は、よく分からない死に方をして、いなくなった。不思議と涙は出てこなかった。それは多分、私が彼の死を受け止められていないからだ。まだこの世界のどこかで彼は生きていると私は心の奥底でその願いを捨てれずにいる。彼はいつだって綺麗だった。だからこれからもその輝きで色んな人を魅了していくはず。ねえ、シン様。そうでしょう?シン様が死ぬはずなんてない。きっと、どこかで。

「…山菜っ!山菜!」
「なあに、霧野君」
「お前いい加減にしろよ。神童はもういないんだよ!いつまでこんなこと続けるんだ!どこを探しても神童はいないんだ!」

何を言ってるの、霧野君。あなたこそいい加減にして。シン様はきっとどこかで生きてるの。だってシン様だよ?死ぬなんてありえない。シン様、早く姿を見せて?周りの人たちが変なことを言うの。シン様は死んだんだって。おかしいでしょう?シン様は死んでなんかないのにね。だから早く姿を見せてあげて。シン様は生きてるんだって。

「もう…めてくれ。山菜のこんな姿見たくない。これからは俺がずっと傍に居るから。俺がお前を守ってやるから、だから、もうやめてくれ…」

何で霧野君は泣いてるんだろう。それに私の傍に居るとか、守ってやるとか、何言ってるんだろう。私にはシン様がいるからそんなのいいのに。…ねえ、どうして。どうして姿を見せてくれないの?あ、恥ずかしいんだ。そうでしょう。こんなに騒がれたら出にくいよね。じゃあ、静かにさせれば出てくる?シン様がそう言うなら、静かにさせるね。大丈夫、すぐ終わるから。

「ねぇ霧野君、お願いがあるの」
「何だ?」
「今すぐ、死んで」


今すぐ、×××


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