▽高校生/倉間視点

高校に入って俺はやっと山菜の身長を抜かすことができた。今も身長は伸び続けて、現在165cm。現代を生きる高校生男子にしてはまだまだ低いが、山菜を抜かせただけでも俺は十分だ。好きな女より身長が低いのはかっこつかねえし。…それにしても好きな女から見上げられるのってすげえドキドキする。上目遣いって、こんなに威力あるんだ。やばい、意識したらドキドキしてきた。

「倉間君、大きくなったね」
「あぁ、そうだな。今の俺からしたら山菜すげえ小せえもん」
「ええっ、そんなに小さくないよ」

山菜が唇を尖らせながら俺にそう言うが、俺からすれば山菜は小さい。俺はそれを証明するために山菜を抱きしめてみた。スッポリと山菜は俺の腕の中におさまった。やっぱり小せえ。

「ほらな、すげえ小せえ」
「…本当だね、倉間君おっきい」

クスクスと可愛らしく笑う山菜。笑うたびに山菜のふわふわした柔らかい髪が俺の鼻をくすぐり、折れそうなぐらい細い腕が俺の背中に回された。スッポリおさまるサイズの山菜を抱きしめてみて「山菜も女の子なんだなあ」って今更思う。

「…山菜、」
「なあに?」
「好きだ…すげえ好きなんだ」
「うん、知ってる。私も大好き」

俺の告白に山菜はただ柔らかい笑みを浮かべてそう答えた。何だよ、頬を染めるぐらいしてくれたっていいのに。…ドキドキしてんのは俺だけかよ。そう思うとすげえ悔しい。どうすればドキドキさせられるだろう。俺はそればかりを考えていて、山菜の顔が俺に近づいていることには気づくことができなかった。気づいたときにはもう遅い。山菜の唇が俺の唇と重なっていた。

「ごちそうさまでした」

ゆっくりと唇を離した山菜は舌をぺろりと見せ、悪戯っぽく笑いながらそう言った。


たまには大胆にいきましょう
(いくらなんでも大胆すぎだろうが!)


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