▽狩屋視点

気に食わない相手がいる。いつもクールぶってて、俺たちが騒いでいるのを見てガキっぽいなあなんて思っているだろうあいつ。俺が苦手なタイプ。てかすごく俺の気に障ることを言ってくるのがイラつく。黙ってれば別に俺だって敵対心抱かないし、普通に接しようと思うけど、向こうにそんな気がないんだから、俺が普通に接しようとしても無駄なわけ。
最近は衝突することも多くなった。たいていは、茜さんのことでだ。俺が茜さんの傍にいると必ずあいつが邪魔しに来て、それまでいい雰囲気だった俺たちの空気をぶち壊す。いつもは笑わないくせに茜さんに笑顔向けられるとすごいうれしそうに微笑むんだぜあいつ。むっつりかよ。

「むっつりじゃない」
「あ、声出てた?」

心で思っていたはずの言葉は口からこぼれていたらしい。いつの間にか俺の隣にいた剣城君はまっすぐ俺を睨んでいた。ていうか「むっつりかよ」って言っただけで誰も剣城君なんて言ってないんだけど、何で分かったんだろ。

「何で剣城君のこと言ってるって分かったわけ?」

ストレートに聞いてみれば剣城君は淡々と「目がそう語ってたから」ただ一言俺の顔も見ずにすかした態度で答えた。ほんとに腹立つ。ちゃっかり茜さんから受け取ったタオルで顔をふく姿さえ、かっこよく見えるから、尚更腹が立つ。まあ最後らへんのは完全に嫉妬だけど。
何で同じ女の人を好きになっちゃったんだろって、最近すごく思う。剣城君には空野さんがいるから、って油断してた。でも空野さんも剣城君もそれぞれ好きな人がいて、それの相談にお互い乗っていただけらしいって知ったときは本当に驚いた。じゃあ剣城君は誰が好きなんだろうって考えたときに出てきたのは茜さん。剣城君が最近よく茜さんに親切にしているのを俺は何度か見ていたから。だから、きっと茜さんだってそのときになってやっと気づいたことを今でも覚えている。

「あーあ。剣城君さあ、諦めてくれない?」
「何をだ」
「茜さんのこと」
「…冗談じゃない。まだ本気も出していないのに、諦められるわけがない」

ひどく見下したように剣城君は俺にそう言った。あーもう本当にイラつかせるのが上手いよ剣城君。さんざん俺の邪魔しといて、まだ本気を出してないだなんて。まあいいけど、俺もそろそろ本気を出そうと思ってたところだし。涼しい顔して、余裕かましてればいい。その間に俺が茜さんを掻っ攫ってやるから。そのとき、涼しい顔が崩れる瞬間、ばっちり見てやるよ。


そろそろ本気を出してもいい?

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50万打企画。たまさんリクエスト。
リクエストありがとうございました。茜ちゃん関連の三つ巴だとこの三人一番好きです。というか剣城と狩屋で女の子を挟むのが好きです。とても可愛い(キリッ)押せ押せな狩屋に釣られて剣城もぐいぐい茜ちゃん迫っていけばいいなあって思います。リクエストありがとうございました。


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