キミの音

 


まだまだ夜も開けない真夜中。
布団の中で目を覚ました。

隣には見える限り裸の神田。
左胸に刻まれた梵字が上下する。

冷えた指先で梵字をなぞるようにすれば、小さく身動ぎして目を開けた。



「…、つめて……モヤシか……起きたのか。…ちゃんと、寝れよ?」



キミは優しいから。
声をかけて、抱きしめてくれる。



どんなに怖い夢を見ても、神田がいるから大丈夫。



神田の左胸の梵字が上下しない光景が見えても、目を開ければ…

…大丈夫。

きっと、大丈夫。



素肌同士は暖かい。

生きる証を聞きながら、僕はもう一度目を閉じる。







小さな白の戦士が眠りにつく頃、黒の戦士が目を開けた。



「…お前をおいていくわけにはいかねーな」





END











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