5-1
今日の夢は森の中か。
夜空は雲ひとつ無くて、浮かぶ月が森を淡く照らしていた。
草をかき分けて、誰かが近づいてくる。
「足元気をつけろよルルーシュ」
初めて聞く少年の声がした。
視界の先に並ぶ木々の向こう側から、複数の足音が聞こえてくる。
「目が慣れてるから僕は大丈夫だ。
それよりキミこそ気をつけろ。ナナリーを背負っているんだから」
今回の夢は動けるようで、木々の間から向こうを覗く。よし、見えた。
茶色の髪の少年が幼いナナリーを背負い、その後ろを幼いルルーシュが歩いていた。
茶色の髪の少年はスザクだろうか?
「俺はルルーシュと違って鍛えてるんだ。転んだりなんかするもんか」
気の強そうな言い方に違和感を抱く。
幼い頃のスザクって一人称が『俺』なんだ!
「おいルルーシュ。この前みたいに転ぶな─────」
幼いスザクがこちらを向く。
あたしの目を、確かに見ていた。
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