咲きほこる氷の華

39輪


*ベルフェゴールside*


フ「し、死ぬかと思いましたー」

ス「う゛お゛ぉい……」

ク「……助かったの?」

骸「そのようですね。クフフフ正直肝が冷えました」

獄「10代目!ご無事で!!?」

沢「あぁ。平気だよ」


狂ったように笑い出したあいつが持っていたのは自爆スイッチ。
光が溢れ出した瞬間にそれぞれ咄嗟に炎で防御したが、ある程度の怪我は覚悟していた。

事実、直後に物凄い衝撃が襲った。


だが...


ベ「無傷……?」


いくら霧の結界に加え、それぞれのが炎で防御したとは言え無傷はあり得ない。
特に姫が氷の炎を使うために霧の炎を使い果たしていたマーモンやカエル、それに向こうの守護者は防御が出来なかった筈だ。

でも、こうして少し服が汚れているくらいで外傷は見当たらない。
何よりも自分が記憶を飛ばしていないことが無傷の証拠だ。


それはあの時聞いた声と何か関係があるのか…。



マ「ねぇ、フィオレは?」

ル「そうよ。フィオレちゃんはどこ?」

リ「俺達が無傷なのはきっとフィオレのお蔭だぞ。おしゃぶりがこれまでにない程の光を放ったからな」


その言葉を聞いて、前髪の下で驚愕に目を見開く。
やっぱりあれは聞き間違いじゃなかった。

急がないと姫が!


ス「う゛お゛ぉい!?どこに行くんだベル!」

X「ドカス。早く見つけねーとフィオレは…………死ぬぞ」

「「「!」」」



“皆は……命に代えてでも絶対に守る”




ベ「姫!」

『ベ、ル……?良かっ…た……無事…………だね』


漸く見つけた姫の体は氷の炎も追い付かない程焼け爛れ、血が流れ続けていた。
このままでは出血多量で死んでしまうだろう。


ベ「っ喋るな!オカマ!早く姫を!!!」

ル「えぇ!」

笹「俺も手伝うぞ!」


あまりの酷さに息を飲む。
晴の守護者たちが治療を始めるが、傷が一向に塞がらない。


『無理、だよ。氷の炎が……ある…から、受け付けない……』

ル「無理かどうかはやってみないと分からないのじゃないの!」

笹「そうだぞ!!」


姫は微笑んで答えない。


『ねぇ、ベル……耳…………貸して』

ベ「あぁ」

『あのね……僕、ベルのこと━━━━━』

ベ「姫?」


吐息のような呟き。しっかり聞こえた。
なのに伝える君はもういない。


ベ「姫…?嘘、だろ?嘘だと言ってくれよフィオレ。……フィオレ━━━━━━━!!!!」




ベルの叫びは真っ青な空に吸い込まれて消えた。



39輪 : 想い
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