*ベルフェゴールside*
フ「し、死ぬかと思いましたー」
ス「う゛お゛ぉい……」
ク「……助かったの?」
骸「そのようですね。クフフフ正直肝が冷えました」
獄「10代目!ご無事で!!?」
沢「あぁ。平気だよ」
狂ったように笑い出したあいつが持っていたのは自爆スイッチ。
光が溢れ出した瞬間にそれぞれ咄嗟に炎で防御したが、ある程度の怪我は覚悟していた。
事実、直後に物凄い衝撃が襲った。
だが...
ベ「無傷……?」
いくら霧の結界に加え、それぞれのが炎で防御したとは言え無傷はあり得ない。
特に姫が氷の炎を使うために霧の炎を使い果たしていたマーモンやカエル、それに向こうの守護者は防御が出来なかった筈だ。
でも、こうして少し服が汚れているくらいで外傷は見当たらない。
何よりも自分が記憶を飛ばしていないことが無傷の証拠だ。
それはあの時聞いた声と何か関係があるのか…。
マ「ねぇ、フィオレは?」
ル「そうよ。フィオレちゃんはどこ?」
リ「俺達が無傷なのはきっとフィオレのお蔭だぞ。おしゃぶりがこれまでにない程の光を放ったからな」
その言葉を聞いて、前髪の下で驚愕に目を見開く。
やっぱりあれは聞き間違いじゃなかった。
急がないと姫が!
ス「う゛お゛ぉい!?どこに行くんだベル!」
X「ドカス。早く見つけねーとフィオレは…………死ぬぞ」
「「「!」」」
“皆は……命に代えてでも絶対に守る”
ベ「姫!」
『ベ、ル……?良かっ…た……無事…………だね』
漸く見つけた姫の体は氷の炎も追い付かない程焼け爛れ、血が流れ続けていた。
このままでは出血多量で死んでしまうだろう。
ベ「っ喋るな!オカマ!早く姫を!!!」
ル「えぇ!」
笹「俺も手伝うぞ!」
あまりの酷さに息を飲む。
晴の守護者たちが治療を始めるが、傷が一向に塞がらない。
『無理、だよ。氷の炎が……ある…から、受け付けない……』
ル「無理かどうかはやってみないと分からないのじゃないの!」
笹「そうだぞ!!」
姫は微笑んで答えない。
『ねぇ、ベル……耳…………貸して』
ベ「あぁ」
『あのね……僕、ベルのこと━━━━━』
ベ「姫?」
吐息のような呟き。しっかり聞こえた。
なのに伝える君はもういない。
ベ「姫…?嘘、だろ?嘘だと言ってくれよフィオレ。……フィオレ━━━━━━━!!!!」
ベルの叫びは真っ青な空に吸い込まれて消えた。
39輪 : 想い
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