部屋に×エロ本隠すまでが×遠足



ちょっと待てなんだコレ…

なんでこんなとこにいんだ俺…

なんで飯食ってんだ俺…


「どう？トッシー。美味しい？」

「……お、おおおお美味しいで、ござる。」


なんでトッシー化してんだ俺ぇええええ！！！


マヨネーズ口に入れた瞬間自我を取り戻したが、その前の記憶が一切ねェ…。
でも今この状況で「戻った」なんつったら確実にバカにされる…特にこの銀髪のバカに。なんとかこのままこの状況をやり過ごしてェ…。

つーかなんでこの女はメイド服なんだ。

何がどうなってんのかサッパリ分からねェ。こんなんただの変態の集まりじゃねェか…。

とりあえずこれ食って早く帰ろう。

…コレ夕日が作ったのか？だよな？トッシー状態で一口食ったけど意識混在してて味よくわかんなったわ。
…全員食うのに夢中になりすぎだろ。どんだけ飢えてんだよこの貧乏人ども。


「あ、うま。」


あ、やべ。つい普通にリアクションしちまった。


「美味しい？良かった！」


コイツ、トッシーに対しては敬語じゃないのか。

つーかなんだこの飯は。
劇的にマヨネーズが合う。抜群に合う。


「夕日！！！おかわりぃい！！」

「自分でよそいなよ神楽ちゃん。」

「いいよいいよ、大盛り？」

「当然アル！！！」

「夕日、俺も。」

「はい。」


………なんだコイツら。家族みてェだな。


「トッシーは？」

「…せ、拙者も、貰うでござる。」


な、なんだこの感じ。なんでちょっと…ほっこりしてんだ俺。

屯所で食う定食と、大差ないはずのメニューなのに、やけに身体に染み渡る気がする。
やけに暖かい気がする。


「ご馳走さま…でござった。それでは拙者はこの辺で失礼する。」

「トッシー帰っちゃうの？じゃあ私もそろそろ帰ろうかな。明日仕事だし。」

「…送ってく。」

「まだそんな遅くないしトッシーと帰り道一緒だから大丈夫だよ。」

「今はこんな成りしててもコイツは真選組の副長だろうが。このヘタレ状態で狙われたら誰がお前のこと守んだよ。」

「………そっか。」


コイツ…結構大事にされてんな。


「邪魔したでござる。」

「また来るヨロシトッシー！！」

「あ、トッシーさん忘れ物ですよ！！」


なんだこの落書き集！！！
何がどうなってんだよ俺が描いたのコレェ！？！？


「ちょっと！大事なもの忘れないでよ！！折角被写体やってあげたんだから！」


被写体！？！？なんの話だよ！！！
我ながら何をどう見たらこの絵になるのか皆目検討つかねェよ！！！！


「あ、お前着替えたの？乾いてた？」

「さすがにメイド服で帰れないでしょ。風強かったからほぼ乾いたよ。」

「…持って帰んのソレ？」

「クリーニング出す。下着は買って返す。」

「いいんじゃね別に？」

「ダメでしょ！！！汚れたかもしれないし。」

「あーまぁ、そうだな…ダメだな。」


オイ何で汚したんだテメェら。


隣で歩くコイツらは、普段の俺といるときよりも気が抜けているのか、ただの会話を交わしているだけなのに何処と無く柔らかい雰囲気に包まれている。

特にこの銀髪。


「持って帰るってことはもう一回使っても
「着ないからね。」

「んだよ、似合ってたっつってんの銀さんは。褒めてんの。な？トッシー？」

「そ、そそそそそうでござるな。」

「じゃあ今度トッシーも一緒にコスプレしようよ！！執事とかさ！絶対似合うよ！！」

「お？執事とメイドのイケない関係的な？次はその被写体でいくか。」

「いや銀さんに頼んでない！トッシーに着せたい！！」

「お前それ土方くんに言ってみろ！！ぶっ殺されんぞ！！」


ぶっ殺すぞ。


「じゃ、拙者はこれで…」

「オイお前被写体付き合ってやったんだからちゃんと報酬払えよ。」

「ほ、報酬とは…」


万事屋が悪い顔で夕日の耳を無理矢理塞ぎ、俺と距離を詰めるように近寄ってくる。


「次被写体やる時は、ナースとドクターな。ちゃんと衣装持ってこいよ。お前の言うことなら聞くから、コイツ。」

「ちょっと離して！！！何！？何言ったの！？ねえ！！」

「なんも言ってねェよ、なっトッシー。じゃーな。」

「あ、またねトッシー！！土方さんによろしく！ねえ！絶対変なこと頼んだんでしょ！？」

「………。」


ふっ、どうしょもねェな、アイツら。



「へーぇ、土方さんは獣攻めが趣味なんですねィ。」


俺じゃねぇええええええ！！！！
トッシーだトッシーぃいいいいい！！！！