似て似つ続編 | ナノ




オタクと獣の×暴走×



「……誰コレ。」

「だからトッシーだよ。」

「だからトッシーって何!?土方さんでしょ!?どうしたのコレ!?仕事しすぎて頭おかしくなっちゃったの!?」

「まぁ話すと長くなるからあんま気にすんな。」

「気になるよ!!死ぬほど気になるよ!!」


頼みがあると万事屋に上がってきた土方さんは、変なGジャンを着て、片腕を抱えてソファーの隅で顔を赤らめながら、変態的目線を送ってくる。
明らかにおかしい!!こんなの土方さんじゃない!!

説明をめんどくさがる銀さんに掴みかかって肩を揺らすと、やっとザックリ説明してくれた。

銀さんの話からするに、土方さんの刀は妖刀で、一度は魂を飲まれかけたけど、なんとか押さえ込んだ。
だけどまだ完全に呪いが浄化されたわけではなく、今でも時々ヘタレたオタクになると。


「信じられないけど…コレを見たら信じずにはいられないな…」

「で?何の用だよヘタレオタク。」

「実は…次の冬コミで同人誌を出そうと思っているんだが…どうにも思うような絵が描けなくてね。要するに、スランプに陥っていると、そういうことなんでござる。」

「スランプもなにも元々小学生並みの画力のクセに一丁前なこと言ってんじゃねえぞ。お前の頭が何よりもスランプだろうが。」

「そこでだ、実は今日は神楽氏にスケッチの被写体になってもらいたくてここに訪れたわけなんだが…神楽氏を越える完璧な被写体に遭遇できるとは思わなかったよ!!これはもう同人の神による巡り合わせとしか思えない!!報酬ならいくらでも払う!!」

「いくらでもって…お前別人格でも土方くんの口座番号分かんの?なら話は別だけど。」

「夕日氏!!ど、どうか僕に力を貸しては貰えないか!?その天空から舞い降りた女神の如く完璧なビジュアル…坂田氏のオカズに留めるには惜しいと思わないか!?」

「おい鼻血出てんぞ。オカズにするつもりなのテメェだろ。やめとけ夕日。どうせ報酬は同人誌売り上げの何%とか言うんだろ。こんな変態に付き合う必要ねぇ。」

「いいですよ。」

「え。」

「なんかトッシー可愛いし。」

「お前土方くんに甘すぎねぇ!?さっき俺がご主人様呼びお願いしたときはあんな拒否ってたくせに!!」

「あんな下心丸見えのお願い断るに決まってるでしょ。私はトッシーの熱意に協力しようとしてるだけだから!!」

「同人誌に対する熱意なんてただのスケベ心だろうが!!」

「あ!!超失礼!!この人同人誌の良さをまるでわかってないよトッシー!!話にならない!!」

「ちょっと待てお前もオタク側の人間なのかよ!!初耳だぞコラァア!!」

「うちの押し入れ漫画でイッパイなの知ってるでしょ?実は同人誌も紛れてます。」

「知りたくねぇわそんなのぉお!!」

「夕日氏ぃぃいいいいい!!まずはちょっと熱く語らないかぁあ!?!?」


話してみるとトッシーはなかなか可愛い人で、大好きな美少女侍のトモエちゃんやガンダムについて色々と語ってくれた。
私は主にジャンプ作品が好きだと話すと、最近数年ぶりに新巻が出た"HENTAI×HENTAI"の考察をし始めて、改めて"冨樫先生の脳内はどうなってるんだ…"という結論に至った。


「なんなのお前ら。なんで意気投合してんの。」

「普段の土方さんもイケメンで格好いいけど、トッシーはなんか愛嬌あって可愛いよ。」

「ところで夕日氏…あの、そろそろ被写体の方を…」

「あ、いいよ。どうすればいい?なんかポーズとかするの?」

「そうだな、実は表紙のポーズが思い付かなくて…あ、メイド侍だから刀を持って欲しいんだけれども。僕のはコレ手放せないから…坂田氏ちょっと木刀を借してはくれまいか?」


銀さんの木刀を受けとると、右手に持った木刀を肩に乗せ、左手は腰に、と指示される。
木刀ってコレ意外と重いんだね。


「んー、ちょっと下からのアングルが欲しいからソファーの上に立ってくれるかな?」

「こう?」

「待て待て待て見えるから!!お前被写体と称してセクハラするつもりだろムッツリ痴漢野郎!!」

「何を言う坂田氏。見えそうで見えないラインを描きたいだけだよ僕は。一番のムッツリは坂田氏だと思うね僕は。」

「そうだよ銀さん、ここならギリ見えないよねトッシー?」

「ギリ見えないでござる。」

「鼻血ぃぃいいいいい!!!!」


貧乏揺すりをする銀さんの隣で、トッシーがスケッチブックに筆を滑らせる。
真剣な眼差してスケッチブックと向き合うトッシーは、いつもの土方さんの鋭い眼差しとは少し違って、何故だかとても愛くるしい存在に思えてきた。

いやたぶん見た目が土方さんだからなんだろうけど。


ーーーーーーー


しばらくして描き終えたらしいスケッチブックを掲げながら、出来た!と声を上げたトッシーに夕日が近寄りそれを覗く。


「ヤバイ、トッシー可愛い。尊い。」


相変わらず小学生並みの画力で描かれたそれを見て、夕日は膝から崩れ落ちた。

何がどうなったら可愛いになるんだよ!!
尊いってなんだ!!オタク語だろそれ!!
なんで意外とノリノリなんだよこの女は!!メイド服着ること事態あんな嫌がってたくせに!!


「じゃあ次は…」


そのまましばらくスケッチは続き、何ポーズか描き上げたところでトッシーが顎に手を当てうなり出す。


「うーん、単体絵はこれで完璧とも言えるんだけども…」


どこが完璧だよ。


「絡み絵が欲しいな…同人誌を描く上でやはりそこは欠かせないよね一番の見せ場だよね…」

「じゃあ銀さんでいいんじゃない?」

「そうだな、本来女の子同士のシーンだけども、まぁいないよりはいいかもしれない。坂田氏ちょっと来てくれないか。」

「ふざけんななんで俺がっ」

「ちょっとここに立って、いわゆる壁ドン的シーンを再現してはくれまいか?あとその着物のダルダルのせいで身体のラインが分かりづらいから脱いで頂きたい。」


壁ドン…
童貞オタクにしちゃ気が利く注文するじゃねえか。

壁に寄りかかった夕日の横にトンと音を立て片手を付くと、一気に距離が縮まり、夕日は少し肩を竦めた。


「いい感じでござる!!」


目を反らさずに思いっきりガン見を決め込むと、夕日は耐えきれず目を反らした。
トッシーが、ろくに被写体を見ずにスケッチブックに夢中になっているのをいいことに、空いた手で顎を掴んで無理矢理目線を合わせてみた。


「壁ドンときたら顎クイだよな。」

「指示されてないでしょそんなこと。」

「いいね坂田氏!!実は君も同人誌の類いが好きなんじゃないか?二人とも素人とは思えない被写体っぷりですな!高まってきたぁぁあああ!!」


顎を掬ったまま、舐めるような視線で見下ろすと、夕日は少し眉を寄せた。

よくよく見るとやっぱコイツ美人だよなー。
可愛いってより綺麗系っつーか。
肌ツヤッツヤだしまつ毛長ぇし唇エロいし…喋らず酒も飲まなきゃただのいい女なのに。ま、そこがダメだから居やすいんだけど。


「み、見すぎ。」

「あ?喋んなよ被写体なんだから。」

「……。」


眉を寄せながら必死に目を反らす姿に、イタズラせずにはいられなくなってくる。
トッシーがスケッチブックに目線を移した瞬間に、耳に口を寄せ、小声で囁いてみた。


「もしかして、まだ疼いてんの?」


言い終わって顔を元の位置に戻せば、一気に赤くなった目元と目線がぶつかる。

あ、やべ、こっちも高まってきた。


「よし、次はちょっとそこに寝てみて貰えるだろうか。坂田氏と夕日氏は、すすすす既に一線を越えた仲でござろう?何か問題あるかな?」

「え、」

「今回遂にR18に進出しようかと…フヒヒ。でもどうしても濡れ場がうまく描けなくて…あっだだだだだ断じて僕は、どっどどどどど童貞ではないからねそれだけは言っておきたい!!」

「濡れ場はちょっと、アレじゃないかなトッシー。女の子同士の描く予定なんだよね?どうなのそれ?女の子同士は濡れ場無しでも他に見せ場は作れると思うけどなぁ!?」

「いやそこはモブとの絡みって言うかね、モブに襲われたトモエちゃんから始まる展開にしたくて。ちょっ、我ながら斬新な展開過ぎて萌えてきたんですけどぉお!」

「いやー!?どうかなトッシー!?モブはどうかなー!?地雷の人も多いんじゃないかなー!?」

「トッシー、お前なかなかセンスあるな、画力はアレだけどその発想は悪くねぇよ。」

「分かってくれるか坂田氏ぃい!!じゃ早速だけど夕日氏を組み敷く感じでお願い申し上げる!!」

「任せろ。」


お前が散々トッシーを甘やかした罰だ。
そう言わんばかりに片側の口角を釣り上げ近寄ると、当然の如く夕日は後退りする。

逃げる手首を捕まえてそのまま寝室に追いやり、腰と後頭部を押さえて床に倒した。


「ちょ!!坂田氏ぃぃいいいいい!!リアリティー有りすぎて引くんですけどぉぉおおおお興奮するんですけどぉぉおおおお!!ビデオカメラ持ってくれば良かったぁああああ!!!」


寝転んだ夕日の片手の手首を押さえると、普段より体温が熱い気がして、ますます楽しくなる。
俺と夕日を頭側からスケッチし始めたトッシーを余所に、夕日の足の間に足を割り入れ膝を内腿に擦り付けるように動かせば、目を見開いて反応した後、全力で睨まれた。


「…、……」


あー突っ込みてぇえ。
このバカオタクのせいで突っ込み損ねたお陰でこっちだって疼いて仕方ねぇっつーの。
そう思いながら見下ろした光景に、ついいつもこの先に待っている快感を思い出して、無意識に舌で自分の唇を舐めた。


「…っ…、……」


……アレ、コレ今もしかして視姦的な感じになってる?
この先に進まない感じが焦れったくて逆に興奮するやつ?
だってなんかコイツ、…挿れてる時みたいな顔してんだけど。


「坂田氏次は
「ちょっとタンマ。コイツ、調子悪ぃみたいだから、トイレ連れてくわ。今のうちコマ割りでも考えてろ。」

「は、え?」


困惑する夕日に構うことなく、横抱きにしてトイレに突っ込む。もちろん俺も入って、鍵をかけた。


「な、何して、っ!」


何するかなんて決まってんだろ。
何も言わずに狭い個室の壁に押し付け口を塞ぐ。
漏れそうになる夕日の声を飲み込むように、息つく間もなく唾液を交差させ、手を着物の中に突っ込む。
下着を一気に下へ落とし、そこから抜けた片足を持ち上げトイレの便器に掛けさせた。

開いた足の間に手を入れ迷いなくそこに触れれば、先程達したせいなのか、今疼いていたせいなのか、そのどちらもなのか、勝手に指が滑るほどトロトロに溶けていた。


「そんな顔、あのバカに見せられっかよ。」

「っ、は、ぁ」

「声出すな。」


熱い場所に滑らせていた指を一気に奥まで差し入れると、夕日は俺の服をギュッと掴んで肩に顔を埋めた。
肩にかかる熱い息にこっちも限界を感じて、早々に指を引き抜き、後ろを向かせ、散々焦らされ爆発せんばかりに血液の集まったモノを宛がう。
夕日から溢れ出す蜜を絡めてから、一気に奥を突くと、狭い空間に細い声が響いた。

口を塞ぐべく、夕日の口元に手を持っていくと、こっちが口を塞ぐ前に指を口に含まれ、思わぬ刺激に視界がチカチカした。

指で夕日の口内を犯しながら、耐えきれず欲望のままに腰を打ち付ける。


「っ、やべ…こっちが声出そう。」

「んっ、ハァ、っ」

「どう?同人誌的にこういう展開。」

「…、…ちょっ、と、…ありきたり、かな。」

「…だよな、」


着物をあまり着崩さないよう気を付けながら、後ろから覆い被さるように身体を寄せ、裾に手を入れ夕日の唾液で濡れた指で敏感な突起を中指の腹で撫でる。


「そこっダ、メ…」

「知ってる。」


厭らしく水音を立てるソコで指と腰を同時に動かせば、二人の荒い息がどんどんこの部屋の酸素を薄くする気がした。
ある深さで一定のリズムで律動すると、夕日が腰を反らして声を堪えるよう息を止め、中をビクビクと痙攣させながら締め付ける。
達したせいで更に熱を持ったソコにこっちも限界を迎え、夕日の中にそのまま欲望を吐き出した。


「ハ、ァ……中に、出した?」

「ハァ…出す場所、迷って…着物、汚すとアレかなって…」

「……はぁ。ま、たぶん大丈夫、今日は。」


ちぇっ。

………ちぇってなんだ?


その時丁度玄関が開く音がして、新八と神楽の声が廊下に響いた。


「やべっ、おい早くパンツ履け!」

「ちょっ、待って!誰かさんが中に出したせいでドロドロなんだってば!」

「それほとんどお前のだよ!」

「んなわけないでしょ!」


小声で話していたら、居間に行った神楽たちがトッシーを見付けて、ツッコミのオンパレードと化す。
「銀さんは!?」と新八が言い出したところで、慌てて二人でトイレから飛び出し、涼しい顔で居間へ入る。


「よ、よぉトッシーどうだー?原稿進んだー?」

「いい感じでござる!そんなことより夕日氏、やっぱり調子が悪いんじゃないか?さながら麗しき雪国の少女の如く顔が赤いけれども。」

「え、だだだだ大丈夫!アレ、二日酔いで…ちょっと吐いただけ!銀さん介抱してくれてありがとうアハハ!」


まぁ確かに吐いたよな。欲望を。
確かに介抱したよな。性的な意味で。


「そんなことよりなんでトッシーがいるんですか?」

「あ?あのー、アレに決まってんだろ…冬コミで荒稼ぎするためだろ!なっ!」

「そ、そう!頑張ろうねトッシー!」

「坂田氏…夕日氏…!!君達は神かぁぁあああ!!!」

「で?どんな感じに描けたの?」


夕日と一緒にトッシーのスケッチブックを覗いてみた。


「オイなんで俺のホジション犬なんだよ!!モブって犬のことだったの!?犬っつーかただの毛玉じゃねーかコレェエ!獣攻めか!?どんだけマイナーな性癖してんだお前気持ちわりぃ!!」

「あーモジャモジャ具合上手に描けてるね。」

「誰がモジャモジャじゃぁあああ!!!!」

「何アルかコレ。」

「神楽氏にはまだちょっと早いでござるよフヒヒ。」


神楽と新八に見えないようにスケッチブックを隠したが、そんな画力じゃ1ミリもエロくないから安心しろ。


「よし、じゃ私ご飯作るから、トッシーも食べて行きなよ!」

「いいんでござるか!?メイド侍の手料理…ちょっ!萌えるんですけどぉぉおおおお!!」

「うるせぇぇええ帰れぇええええ!!!」


つーかコイツどのくらいの頻度でトッシー化してんの?
これいつ元に戻んの?


「トッシーもマヨネーズ好きなの?」

「トモエちゃんの次くらいには好きでござる。」

「じゃあマヨネーズが合う味付けにしよう!」


で!!なんでコイツこんなトッシーに甘いんだよ!!!

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