短編 | ナノ




銀さんと変なごっこ遊びが始まっちゃった話


「坂田社長、お待たせしました。いちご牛乳です。」
「……今なんつった?」

完全に暇つぶしのつもりだった。まず、いちご牛乳持ってこいなんて頼まれてない。
たださっきからこの安っぽい社長椅子に座ってジャンプを読む銀さんに、構って欲しかっただけ。

「坂田社長て言った。秘書ごっこ」
「え」
「社長、午後の予定は把握されてますか?本日、新八君はお通ちゃんのライブ。神楽ちゃんはそよちゃんとのお約束。万事屋も休み。久しぶりに2人で過ごせるから、外食する予定でしたよね?いつまで寝巻きでいるおつもりで?」

いちご牛乳を乗せていたお盆を持って演技がかった嫌味をぶつける。
やっと視線はこっちに向いたけど、ジャンプから手を離そうとはしない。月曜を呪いたい。

「仕事熱心ですね、社長」
「そんなに構って欲しい?」

ジャンプを机に投げた銀さんが、椅子に座ったまま私の腰を撫でるように引き寄せる。
抵抗しようとしたのも束の間、椅子とデスクの間に追い込まれた。

「お前秘書の仕事知ってんの?」
「しゃ、社長のスケジュール管理とか…お手伝いとかじゃないの?」
「残念ながらうちの会社ブラックなんだよね」
「ちょっ、」

お盆を取り上げられて同時にスカートの隙間に掌が侵入する。
これはセクハラだ。どう考えてもセクハラだ。
即倒産だよこんなの。

「やめてよっ、真昼間から!」
「ノせたのお前だろ。つーか…社長にタメ口きくなんていい度胸してんな」
「待っ、やめ、て!」
「やめて下さい、だろ」

スカートの中の手に下着の上からお尻を強く揉まれ、肩を押し退けようにも腰をホールドされて動けない。
私の暇つぶしは、銀さんの変なスイッチを押してしまったらしい。

「っぅ、ダメ、」
「敬語は」
「ヤダよ、バカっ!」
「躾のなってねぇ秘書だな」
「っあ、」

下着の布の上からそろりと中央を撫でなれ身体が反応してしまう。逃げるように机に尾骨に押し付け必死に足を閉じ防御体勢を取る。
いつ誰が来るかも分からないこんな明るい部屋で、出来るわけない。
諦めたようにスカートから手が出て安心したのも束の間、腰をヒョイと持ち上げられて一瞬で机に座らされてしまった。

「社長のスケジュール変更するからメモっといて」
「な、」
「昼飯前に秘書の指導」

キィと音を立て椅子から立ち上がると私が逃げられないよう片腕で腰を抱えたまま、ブラウスのボタンを外していく。

「ほんとに、いや!銀、んっ」

いつものように名前を呼ぼうとしたものの、途中で唇を塞がれて叶わなかった。数回角度を変えて唇を啄まれ、身体の中心にジンと熱が集まる。

「ちゃんと秘書らしくしないと、終わらねぇよ?指導」

わざとらしく唇を掠めながら艶のある声でそう言われると、こっちのスイッチもいよいよ自制が効かなくなってくる。
キスをしながらあっという間にボタンを全て外され、ブラウスの下の薄いキャミソールが露わになった。

「や、…やめて、下さ、い」

キャミソールをたくし上げようとする腕を掴んで、必死に訴えてみる。
銀さんが目を丸くしたのは一瞬で、忽ち楽しそうに口角を上げた。

「やればできんじゃねぇか」

後ろの椅子を引き寄せストンと座りなおした銀さんが、私の制止も構わず器用にブラのホックを外す。
キャミソールと下着を一気に捲り上げられ、前開きになったブラウスの間で胸元が露わになった。
こうなってしまえばもう、次の行為への期待しか抱けなくなる。

「邪魔クセェからここ持ってて」
「っふ、ぁ」
「社長のお手伝いも秘書の仕事なんだろ?」

やわやわと胸を撫でられ明るい部屋が一気に淫らな空気に包まれる。
片手でキャミソールと下着を抑えると、目の前に座る銀さんとその手元が視界に広がった。

形を変えて遊ぶみたいに両手で胸を揉みしだきながら、人差し指で少しばかり色素の濃い肌を円を描いて撫でる。
時折頂きに掠める刺激に声が漏れてしまうのも、少し下からじっと見られていることも恥ずかしくなって、顔を背けた。

「ちゃんと見てろって、触るとこ。」
「ゃ、っん、ぁ、あっ」

躊躇いながら視線を戻すと人差し指と親指で両の突端をキュッと摘まれ、痛みに近い刺激が走る。
それも束の間今度は人差し指の腹を軽く押し付けクリクリと小刻みに動かさられる。

「あっ、ん、ぅっ、それっ、やっ!」
「社長に嘘はいけねぇなぁ」
「んんっ!」

銀さんは椅子から軽く腰を上げると、片方を口に含みチュッと音を立て吸い上げ舌を尖らせちろちろと動かす。
布団に寝た状態でされるよりも、その全てが視界に入りやすくて視覚からも快感に襲われる。

「ふ、ぁっ!しゃ、ちょう、」
「っ、」
「こっちも、指導…してくだ、さい」

私のスイッチも壊れたらしい。
銀さんの手をスカートの中に誘導すれば、銀さんは満足気に「いい調子で社畜化してんじゃねえか」なんて言ってた。

「足ここ乗せろ」

椅子の肘置きに足を乗せられ、銀さんがスカートを捲り上げる。
腰を机のギリギリまで引き寄せられると、デスクに両手をついて上半身を支える体勢しか取れなくなった。

「ここやりやすそうだな」

銀さんは椅子に座っているから目線の高さに私の身体がある。今、銀さんの視界に何が映っているのか想像すると羞恥でどうにかなりそうだった。

太腿を撫でられるだけでまた漏れそうになる声を、下唇を噛んで耐えた。
太腿を上へ辿って下着の淵をなぞりながら、膝上の辺りを舌を見せつけるように舐め上げる。

太腿に吸い付きながら湿った下着の上から蜜口を軽く押され、喉から漏れた声が口の中に響く。

「既にぐしょぐしょなんだけど。最初っからこういう展開期待してた?」
「ち、がっぅ!んっ!」

下着に指をかけ引き下ろし椅子の下に放り投げると、いよいよ明るく部屋を照らす太陽を恨みたくなる。

「見るからに濡れてんだけど」
「みない、で」
「こんな平日の真昼間から仕事もせずに厭らしいこと考えてる秘書ってどうなの」
「一番、厭らしいこと、考えてる社長に、言われたくない」
「言うじゃねえの」

ニタリと口角を上げた銀さんが濡れぼそったそこに指を這わせ、蜜口に浅く沈めるとくちくちと音を立て出入りさせた。

「あっ、や!ぁ、っ!」
「バカ、あんま声出すと外に聞こえる」

目の前に窓があるのが悪い。そもそもこんなところでシてるのが悪い。

「なぁもう一個、社長のお手伝いして」
「っ、んぅ」
「ここ、自分で開いてて」

片手を誘導され花弁を開くよう重ねた手に押さえつけられる。

「っ無、理」
「無理じゃねぇって」

指を掴まれ好き勝手動かし固定すると「そのままな」なんて楽しそうに言いながら、突然開ききって無防備になった秘芽に吸い付かれ、腰が大きく跳ねた。

「はっぁ!だ、めっ、!ゃ、あぁっ!」
「ほら、見てろよちゃんと。社長の仕事ぶりチェックすんのも秘書の仕事だろ」
「や、ぁっ!ゆびっ、ダ、メっ!」

見せつけるようにれろれろと厭らしく動く舌の向こうで二本の指がぐりぐりと中へ入ってくる。
見てろと言われたものの、力の抜けていく片手で上半身を支えることができなくなって、どんどんデスクに沈んでしまう。
それを見て銀さんは私の足を担いで自分の背中に乗せた。
私の腰が跳ねるたびデスクの脇に置かれたグラスの中でいちご牛乳が揺れ動いた。

ピンポーン

部屋に響き渡った音に銀さんも私も一瞬動きを止めた。

「宅配便でーす」

居間の戸の更に奥の玄関の戸の向こうから声が届く。

「ひぁっ!!」

油断していた身体を突然刺激が襲う。奥まで沈められた指がお腹の内側の上壁を擦りあげ、空気に触れた冷たい舌が芽を撫で回した。
慌てて声を抑えても、意地悪く快感で追い詰めてくる。

「ぎんっさ、っ!やっ、ぁ!」
「いるってバレちまうだろ、静かにしとけ」

そう言いながらも、執拗にナカのある一点を攻めつつ剥き出しになった突起を舌で転がされ、腰から背中にかけて電気のように快感が駆け抜ける。

声を抑えなければならない状況が、本当に社長室で秘め事をしているみたい。

「ゃ、んぅっ!イっ、ふっぁ、ぁんっんん!!」

唇に手の甲を押し付け身体と共にデスクをカタカタと揺らした。
呼吸を荒げた私から指を引き抜いてデスクに手を付き覆い被さってきた銀さんが軽くキスを落とす。

「、ばか」
「社長のお手伝い、まだ終わってねぇけど?」

デスクの上でうつ伏せにされひんやりとした床に足が着くと、突き出した腰を掴まれ熱い塊を宛てがわれる。

「なぁ、もっかい社長って呼んで」
「ぅ、あっ…や、だ…へん、たいっ」
「はっ、それはそれでイイな」

言いながらズンと奥を突かれ、視界に映る黒い電話が瞬いて見えた。

「ま、いいや。言わざるを得ない状況にしてやるよ」

背後で言われ、私は理不尽な上司に逆らえない社畜の気持ちを痛感しながら、デスクを揺らし続けるしかなかった。

「次は痴漢プレイな」

変なスイッチを押したことを後悔しながら。

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