氷帝の跡部に誘われ、跡部の手配したバスに乗り氷帝学園へと来た。バスの中で丸井と赤也が遠足騒ぎで…まあ、直ぐに黙らせたけど。学園は誰も居なくて、そのまま足を進めて行くと…テニスコートに氷帝レギュラーと、何かが居た。


「あー!立海さんだー!」

「来たか」

「はじめましてー、私いま氷帝テニス部のマネージャーをしてますー、軒野夢久ですー!よろしくねー!」

「言っとくが、夢久は俺様のだからな…手ェ出すんじゃねぇぞ?アーン?」

「もー、景吾くんたらー」

「あ!跡部ずるいCー!」


何だろうこの光景は。
跡部達が何故かあの奇妙な、この世のものとは思えないものを纏う女を愛でている。違和感しか生まれない、なんて気持ち悪い光景だろうか。あの女を見た瞬間からずっと気分が悪い。俺が何かを拒み続けている感覚。ふと他の奴等を見れば、真田と柳は眉間にグッと皺を寄せ何かに堪えており、仁王は片手で額を押さえている。その他はどうやらそのなにかに負けたらしく、氷帝レギュラー達と同じ様にあの女に近寄っていた。好意を示していた。あの女は俺の仲間に一体何をしたんだ。


「…っ、跡部」

「なんだ?」

「吹雪さんはどうしたんだい?」

「ハッ、あの女か?あいつは夢久のことを虐めやがってなぁ…解任したんだよ。まぁ別に元々金を出してた訳じゃねぇからなんの痛手もねぇけどな」

「あの人、夢久先輩にそうな酷いことしたんスか?最低っすね」

「夢久大丈夫だったかよぃ?」

「平気だよー!だってみんなが居るもんー!」

「当たり前やろ?夢久は皆に好かれてるからなぁ…逆にあいつは嫌われて、苛められてるんけどな」

「当然の報いだろ?」

「宍戸さんの言う通りですよ」


どうしたら良いんだ?何よりも跡部を思っていた彼女を捨てた?跡部もこれに勝てずに、囚われたのか?この言い知れぬなにかに。多分、みんな心は変わらない…けど何も出来ないんだ。真田はまだ大丈夫そうだが、柳と仁王は危険だ。このままでは二人もああなってしまう。流石の俺もこれはどうにも出来ない。嫌だ、あんな女に心にもないことを言って愛でたり吹雪さんを貶すなんてしたくない。ああでもどんどんなにかか増えて…気持ち悪くて、たまらない。


「随分と手荒に御座いますね、軒野さん」


凛とした聞いたことのある声が響き、視線を向けてそこに立っていたのは…何時もとかわらず無表情な吹雪零さんだった。



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