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「そういえば光星くん!お兄さんいるらしいね!?」
「あ、はい。3つ上の大学生の兄がいます。」
「3つ上!?じゃあ私よりいっこ年上や!」
お姉さんは口数が少なくなってしまった永遠くんに睨みつけられながらも、俺に兄のことを聞いてきた。永遠くんお姉さんに兄の話もしてたんだな。家で二人がどんな会話をしているのか気になりすぎる。
「どこの大学?もしかして一緒やったりして!」
お姉さんに聞かれて兄が通ってる大学名を言えば、お姉さんは「うわっ!」と声を上げながら満面の笑みを浮かべてきた。
「え?一緒でした?」
「一緒!わ〜!お兄さん何て名前なん〜?」
「姉ちゃんやめろ。俺の友達のお兄さんやぞ、出会おうとすんなよ?」
「なんで?いいやんべつに。」
「あかんわ!」
「なんで?」
「あかんったらあかんねん!」
永遠くんはムスッとした不機嫌顔でお姉さんにそう吐き捨てた。その後ガタッと椅子から立ち上がり、自分の分と俺の分の食器を持ってキッチンの方へ行ってしまい、さっさと食器を洗ってくれている。
「永遠めっちゃ機嫌わる〜い。いっつも調子良くぺらぺら自分から喋ってくるんやで?」
「そうなんですか?」
「うん、転校後に永遠が仲良くなれたの光星くんだけみたいやから光星くんと友達になれてよっぽど嬉しかったみたい。」
「…まじすか。俺も、永遠くんと仲良くなれて良かったですよ…。」
「ほんま?永遠良かったな〜。
……ところで光星くんの苗字って何やったっけ?」
永遠くんがこっちに戻ってくる前に、お姉さんがコソッと名前を聞いてきたから、恐らく知りたいのは俺の兄のことだろうなとなんとなく察した。
「浅見ですよ。ちなみに兄は経営学部の2年です。」
「うわっ…学部も一緒や。……紹介してって言うたら怒る…?出会い目的って言うよりは人脈を広げたいって感じなんやけど…」
「俺は全然大丈夫ですけど…」
永遠くんが嫌そうだったから、ってチラッと永遠くんの方を見ながら言うと、お姉さんは「永遠には内緒にしとくから」ってコソコソと喋りながらポケットからスマホを取り出してくる。
そして素早くお姉さんと連絡先を交換し、俺のラインの友達一覧には【 えな 】というお姉さんのアカウントが追加された。
姉弟で名前をひらがな表記にしていてかわいい。まさかお姉さんとライン交換したなんて、永遠くんにバレたら怒られるかな。って俺はすぐにスマホを片付けた。
食器洗いを終えた永遠くんは冷蔵庫に冷やしていた俺が買ってきたケーキの箱を取り出して、にこにこと笑みを浮かべながら「光星がくれたケーキ食べよ」と箱を抱えてこっちに戻ってきた。かわいすぎて頬が緩む。
食器洗い後はもう永遠くんの機嫌も戻っていたようで、お姉さんは少しホッとした表情で永遠くんに目を向けていた。
「おぉ!5個もある!姉ちゃん見て、光星が買ってきてくれたケーキ。俺ショートケーキがいい。姉ちゃんは?」
「私も食べていいの!?光星くんはどうする?」
「あ、俺は大丈夫ですよ。」
「えー光星も一緒に食べようや。チータイムにしよ、チータイム。」
永遠くんはそう言いながら、食器棚からお皿とカップを取り出してきた。
「ええなぁ、それじゃあチータイムにしよか、チータイム。光星くんコーヒーか紅茶どっちがいい?」
「あー…じゃあ、紅茶で…」
チータイムチータイムと姉弟で連呼し始め、お姉さんが紅茶の用意をしてくれている。
「光星どれが好きなん?」
「俺はどれでも…先にお姉さんに選んでもらったら…」
「あかん、先に選んで。」
「……え、まじでどれでも良いんだけど。」
そもそも永遠くんの家の人用に買ってきたから、って選ぶのを躊躇っていたら、「じゃあチョコケーキ」って永遠くんは箱の中からショートケーキとチョコケーキを取り出してお皿の上に置いてきた。
「半分こしよ、俺チョコも食べたい。」
可愛い笑みを浮かべてそう言われて、俺はもう頬がゆるゆる緩みっぱなしだ。永遠くんが2つとも食べてくれても良いのにな。
「じゃあ永遠くん先に好きなだけ食べて。俺余った分貰うから。」
「いいの?じゃあショートケーキから食べよ〜。」
はぁ…、かわいいわ。
永遠くんまじでかわいい、ぎゅーしてえ…。また俺の腕の中にずっぽり永遠くんを閉じ込めて、永遠くんの髪に頬擦りしたい。
どんどん行き過ぎてしまう妄想をする前に、永遠くんから目を離し、お姉さんの方に視線を向けるとお姉さんは電気ケトルでお湯を沸かしてくれていた。
「姉ちゃんモンブラン残ってるで。」
「ほんま?じゃあ私モンブランもらう〜!」
お姉さんはモンブランが好きだったようで、三人分の紅茶を淹れて持ってきてくださったお姉さんはこちらもまたにこにこと可愛い笑みを浮かべながら箱の中からモンブランを取り出している。
可愛い姉弟に挟まれ、俺は永遠くんの家に来てから癒されっぱなしだ。
たまに口喧嘩のような言い合いをしたりもしているけど基本的に二人の仲は良さそうで、笑みを浮かべながら仲良くケーキを食べている姿はそれはもう二人揃って可愛くて、頬が緩んでしょうがない。
しかしそんな二人を見てデレデレしていたら永遠くんに変な誤解を与えてしまいそうで、顔がにやけないように必死に表情を引き締めながら過ごしたのだった。
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