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永遠くんのお姉さんがめちゃくちゃ可愛いかった。これは、ただの俺の感想に過ぎない。でも、永遠くんの前で口に出すべきでは無かったと言った後にちょっと反省した。

反省はしたものの、永遠くんの反応が予想外すぎて内心かなり浮かれている。まさか俺がお姉さんをちょっと『可愛い』と言っただけであんなに拗ねるような態度を取られるなんて思わない。

でも考えてみれば、『かわいいから』なんていう理由で永遠くんにキスして、ただでさえ誠実さに欠けているのに永遠くん以外の人を『可愛い』と言うのは不誠実だな。と、やっぱり俺は反省した。


いくら永遠くんのお姉さんも俺好みのたぬき顔だったとしても、もう俺の心はすでにかわいいかわいい永遠くんに惹かれてしまっているから、いくら永遠くんのお姉さんが可愛い人でも俺はもう絶対、永遠くんの前でそんな発言や態度は出さないようにしようと胸に刻んだ。



「さーっ召し上がれ〜。光星くんのお口に合うかなぁ?」


お姉さんに呼ばれて永遠くんの部屋からキッチンのある部屋へ移動すると、良い匂いを漂わせ、ほかほかと湯気が出ているうどんが二つ用意されていた。うどんには油揚げと小ネギ、卵が乗せられていて美味しそうだ。


「ありがとうございます、頂きます。」


永遠くんが先に座ったのを確認してから永遠くんの正面の椅子に腰掛け、お箸を持つと、お姉さんが不安そうに俺の顔を覗き込んでくる。

思わずそんなお姉さんに顔を仰け反らせてしまったら、その直後永遠くんがお姉さんに向かって怒り口調で口を開いた。


「姉ちゃん近いねん!向こう行っといて!」

「なんでやな!光星くんに感想くらい聞かせてや!!」

「聞いてもいいけど光星の半径2メートルに近付いたらあかん。」

「2メートル!?地味に遠くない?」


お姉さんは永遠くんに言い返しながら、律儀にその2メートルという数字を守るように俺から距離を取った。


「光星くん美味しい?」

「あ、…はい。美味しいです…。」


確かに地味に遠いな。大体2メートルくらいの距離を空けて俺に話しかけてくるお姉さんがおもしろくて少々笑い気味に頷いてしまった。


「よかったぁ。光星くんに不味いもん食べさしたら永遠に怒られるしな〜。」


お姉さんはそう言ってチラッと永遠くんに目を向けるが、永遠くんはなにも言わずにずるずるうどんを啜っている。


「永遠な、転校してからずっと家帰ってきて光星光星て私に光星くんの話してくんねんで。」

「姉ちゃん!!要らんこと言うな!!」


永遠くんがお姉さんの話に無反応だったからか、今度は俺に目を向けながらそう話してきた。それにはカッと顔を赤くして口を開いた永遠くんに俺まで釣られて顔が赤くなりそうだ。

永遠くんお姉さんに俺の話してくれてたんだ、嬉しいな。どんな話してくれてたんだろ。友達できた、とか仲良くなった、とかかなぁ。


「最初はあれやな、クラスにめっちゃかっこいいやついるとか言うてきたんやったな〜。」

「おいっ!!!」

「あとチャリ屋にデートしてくる〜とかも嬉しそうに話してたな〜。」

「えっ…」


デートって…。永遠くんの冗談だとしても、お姉さんの話を聞いて俺はドキッとしながら永遠くんに視線を向けると、永遠くんは耳を赤くしてチュルチュルとうどんを1本啜っている。かわいすぎだろ。


「頭ポンポンって撫でられてん、とかも言うてたな〜!あと、も〜好きになってまう〜!とかな。」

「うるさい!そんなん言うてないわ!!」

「言うたで。」

「言うてない!!!」


にこにこと楽しそうに続けて話すお姉さんの言葉に永遠くんは否定しながらも、その顔はどんどん真っ赤になっていた。


永遠くんが否定しているからお姉さんの冗談、というか大袈裟に言ってるという可能性もあるけど、顔が赤くなっている永遠くんの反応は俺を自惚れさせる。もしかしたら、永遠くんも俺のこと…、って。

そもそもさっきの俺がお姉さんを『可愛い』って言った時の永遠くんの嫉妬するような、拗ねるような態度で正直かなり自惚れている。


勝手に期待して、俺まで照れてしまい、うどんを食べているのもあって頭がカッカと熱くなってきてしまった。

もしお姉さんの言ったことがその通りなら永遠くんも俺のこと結構最初から好感持ってくれてそうですげー嬉しい。

永遠くんと仲良くなれて、一緒に自転車屋行って、登下校一緒にするようになって、こうやって休みの日も会えて喜んでるのが俺だけじゃなく、永遠くんもだったらすげー嬉しい。


そうやって、すでに自惚れている俺の気持ちをさらに加速させるように、その後暫く赤い顔をしていた永遠くんは、まったく俺と目を合わせてくれなかった。

恥ずかしそうに下を向かれて、俺が期待しないわけがなかった。


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