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全然寝られんかった……。

光星がほんまにチューしてきたからドキドキして全然寝られんかった……。しかも光星が寝ながら俺のことぎゅっとしてくるからまじで一睡もできんかった……。なんなん恋愛初心者のくせに、寝惚けると大胆になるんか?

ていうか今何時やねん。


フラフラしながらトイレに行き、1階にあった時計で時刻を確認する。……5時?まだ早いやん。もっかい寝たろ。光星の部屋戻ったら今度は布団でもっかいちゃんと寝たんねん。


働かない頭でそう考えながら、またフラフラと階段を上って光星の部屋に戻ったら光星はベッドの上で静かに腕を組みながら胡座をかいでいた。


「あ…。」


チラッと光星に何か言いたそうな顔を向けられたけど今はとにかく眠いのであとにしてほしい。一晩中ドキドキしててしんどかったんやぞ、こっちは。ほんで光星の寝息なんかエロかったし背筋ぞわぞわした。…ってこらっ!何を考えている永遠!


あーもう絶対寝る。とにかく今は一睡したい一心で、ベッドの横に敷いてあった布団に万歳しながらダイブして、俺はそのまま目を閉じた。

そして目を閉じた瞬間に、爆睡した。




「永遠さんまだ寝てるの?」


あれから何時間経ったか分からず、ガチャ、と部屋の扉が開かれる音と、流星くんの声が聞こえてきて俺は再び目を覚ました。


「ん〜っ…あ〜、流星くんおはよ〜。」

「もうおそようですよ。」

「ん〜?おそよう?今何時?」

「11時です。」


流星くんは朝早くからゲームがしたかったようで、ちょっと不満げに告げられた。『11時』と聞き、さすがに人の家で遅くまで寝過ぎたなと苦笑する。でも今度は寝過ぎた所為で頭が働かなくなっていてなかなか起き上がる気になれない。

チラッとベッドの方を見上げると、まだ光星がさっきと同じ体勢で胡座をかいでジッとしている。え?まさかずっとそうしてた?


「俺先にリビングでゲームしてるんで永遠さんも早く来てくださいね!!」


流星くんはそう言い残して部屋を出て行き、俺は静かに胡座をかいでジッとしている光星と二人きりになった。


「んん、…ねむい。」


結構寝れたけどやっぱりちゃんと規則正しい時間に眠らないとなんか身体がスッキリしない。その後もなかなか起き上がる気になれず、布団の上でゴロゴロしながら光星を見上げた。


「あーもう眠たすぎる。光星の所為やで。こうせいせいのせい。」

「…ふっ、なにそれ。」


眠た過ぎて頭がおかしくなっている。光星はそんな俺を見下ろして笑った。お兄さんはよく眠れたようで、顔色が良いですね。


「俺光星の隣で一睡もできひんかってんで?」

「え、…うそ。」

「ほ、ん、ま。こうせいせいは俺の隣でぐっすりやったけどな。チューしてきたあとあんなすぐ寝るとか卑怯やわ。」


チクチクチク、と少し文句を言ってみると、光星はちょっと耳を赤くしながら気まずそうな顔をして黙り込んだ。

身体を起こしてそんな光星を下から覗き込んでみると、今度は恥ずかしそうに目を逸らされる。徐々に光星の顔が真っ赤に染まっていき、顔半分を手で隠しながらボソッと小声で「ごめん」と謝まってきた。


「いいよ、べつに怒ってへんで。俺だって嫌やったら嫌って言うもん。」


怒っているわけでは、ない。でも、あえて言うならキスしてきた理由が不満。俺のこと気になるから、とか、意識してるからとかが良かった。自分と同じ気持ちだったら嬉しかった。


「……嫌じゃないんだ。」

「嫌ちゃうよ。」

「…じゃあ俺またするかも。」


ジー、と俺の顔色を窺うように、見つめながら光星はそう言ってきた。その真っ直ぐに俺を見る目は、初めて光星を見た時の事を思い出す。気付いた時にはもう浅見光星にどっぷり惹きつけられていて、俺はコクリと頷いていた。


「うん、いいよ。して。」


俺が頷いた瞬間、光星はベッドから降りてきた。

えっ今!?ってびっくりしながら光星を見上げていたら、光星は俺の横に腰を下ろして、にこっと笑みを見せてくる。

キスしてくるのかと思ったら、光星は俺の頭を抱き寄せて胸元に押し付け、わしゃわしゃと髪をかき混ぜてきただけだった。


「はぁ〜かわいいなぁ。」


頭の上に頬を乗せられ、俺は光星の腕の中に埋まった。暫くずっとなでなでと髪を撫でられて、俺は身動きを取れない。


そしてその後、少し身体を離されたと思ったら、チラッと俺の顔を覗き込まれた。光星と目が合って、ジーッと見つめられたあと、徐々に光星の顔が近付いてくる。

チュッと唇が触れ合って、でもそれはほんの一瞬で、すぐに光星はその場から立ち上がり、俺から距離を取った。

何も言わずにそのまま光星は部屋を出て行ってしまい、ポツンと一人布団の上に残された俺は、またゴロンと布団に倒れ込み、暫く放心状態だった。


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