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光星が友人にノートを見せるのやめると言った次の日から光星は有言実行し始めたようで、隣のクラスには行かなくなった。

だいたいいつも俺と一緒に居たけどノートを持って行っている姿もまったく見てないし、多分ほんとにもう貸すのはやめたんだと思う。


俺は初めての席替えで光星と席が近くなったからいつも休み時間は光星と会話をして、楽しく過ごせている。


自分のクラスではとても平和に過ごせているのに、教室を一歩出ると隣のスポーツクラスの人の俺を見る目がキツイことに実は気付いていた。


心当たりと言ったら、まあまったく無いこともない。

けれど、別に何か言われたわけでもないし気にしないように平然としながら過ごしていた。


スポーツクラスの人たちは光星にはすごく好意的で、光星といる時はそんなキツイ目を向けられることもない。


けれどある休み時間、一人でトイレに行こうとしていたら廊下で鉢合わせした光星の友人、佐久間に俺のことをひどく嫌悪するような目で見下ろされながら、話しかけられた。


「よお、とわくん。お前光星に何か余計なこと吹き込んだだろ。」


廊下の壁に追い詰めてきて、威嚇してくるような相手の態度に身体が少しだけ強張る。


「俺と光星の仲壊して毎日やけに楽しそうじゃん。」


……は?俺が仲壊した?

それは光星からノートを借りられなくなったから?
確かにノートの貸し借りについて言及はしたけど、それが俺に仲を壊されたと思うのならそれはやっぱりこいつが光星のことを便利な道具だとでも思っていたようなものだと俺は感じた。


「…ただの被害妄想やろ。」

「お前あんま調子乗んなよ?」


思ったことをストレートに口にすると、佐久間はさらに目つきを鋭くして睨み付けてきた。威嚇して、怖がらせたら相手が下手に出るとでも思っているのだろうか。


「光星にノート見せてもらえんようになったから怒ってんの?そんなに人のノート見な勉強できひんねやったら俺が教えたろか?」

「はっ?…ふっざけんなてめえ!!!」


さすがに挑発するような言い方をしすぎてしまったようで佐久間は顔をプンプンと赤くして俺の胸ぐらを掴んできた。


「人を見下した態度取りやがって!てかお前京都人らしいな?京都人は性格腹黒とかよく聞くけどまんまお前のことだな!てめえみたいなのが光星の周りうろちょろすんな!消えろ!」

「は?京都関係ないわ!どっちが腹黒や、出身地で人を決めつける方がどうかしてるわ!何万人おると思ってんねん!!」

「お前が良い例だろーが!」

「ほな俺は、いっつもいっつも友達からノート借りて、スポーツクラスは全然勉強せえへんあほなやつばっかなんやなぁっていう偏見持つけどええんか!?そこに部活と勉強両立させてて、頑張ってるやつもおるかもしれんのにお前一人の所為でそんな偏見持つけどええんか!!」


言われたことにムカついて、言い返していたらだんだんヒートアップしてしまい、だんだん周りに人が集まり出してしまった。


「こら!!!何してるの!?やめなさい!!」


廊下に先生がやって来て、俺と佐久間を引き離し、「あとで話聞きますから、教室入って。」と促される。


ここまでの言い合いを今まで人とした事が無かった俺は、先生に佐久間との距離を離された後にむかつきで手が震えていることに気付く。


威勢よく言い返したものの、気は小さくて、泣きそうになりながら教室に戻ったら光星に「永遠くん?どうした?」と心配するような目を向けられてしまう。


俺お前の友達と喧嘩した。

お前にとっては大事な友達かもしれんけど、俺にとってはただの気に食わん奴で、正直もう光星と仲良くして欲しくない。

でもそれは向こうもすでに思ってることやろうから、俺が光星から離れることを望んでる。

そんな負の感情を持たれたまま人と付き合っていくのはしんどい。でも光星とは絶対離れたくない。意地でもずっと仲良くしたる。


今は下がり切ったテンションを暫く元に戻せそうになく、光星の声を無視して席に着いてしまった。

転校早々のやらかしにも気持ちがすっかり沈んでしまい、早く家に帰りたくなった。


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