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「永遠おかえり〜。かっこいいやつとのデートどやった〜?」

「ただいま〜。姉ちゃんまた家具買ったん?」

「うん、テレビ置く用。」


家に帰るとまた姉ちゃんは家具を組み立てていた。

サラッとスルーしてしまった姉ちゃんからの『かっこいいやつとのデートどやった〜?』という問いかけの返事は別にそこまで求めている感じでも無かったけど、「かっこいいやつなぁ、今日もバチクソかっこよかったで。」って言ったら姉ちゃんは手を止めて振り向いてくる。


「え〜気になる〜。顔見た〜い。」

「学校から俺の家までの道案内してくれてん。優しすぎん?惚れてまうわ。」

「惚れろ惚れろぉ!」


姉ちゃんはそう合いの手を入れながら家具作りを再開させた。


家に帰ってきて1時間ほど経った頃、光星からラインが届いた。


【 永遠くん今日はおつかれ!

明日からチャリ通がんばれ! 】


今家に帰ってきたのかな。家どのへんなんだろう、絶対時間かかったよな。帰ってきてすぐ俺にライン送ってくれたと考えたらまじで惚れる。


【 光星今日はありがとう 】


俺はお礼の言葉と一緒にハートを抱えた猫のスタンプを送ったら、すぐに既読はついたもののその後光星からの返信は暫くの間なかった。

ちなみにその猫のスタンプは【 だ い す き 】という言葉付きだ。前の学校の友達には送りまくっていたスタンプだけど、光星に送るのはさすがにまずかっただろうか?と思いながらもまあいいや。ってスマホを置いてお風呂に入ってたら、俺の風呂中に光星からの返信があった。


【 永遠くんの言動心臓に悪い 】


心 臓 に 悪 い !?

どゆこと?告白されたと思ったのかな。
男からだいすきスタンプ送ってこられるの初めて?でもこの猫のスタンプ無料だから俺の友達同じスタンプ結構送ってくるんだけど。


これなんて返すのが正解かな?ってちょっとだけ悩んで、結局上手い返しが思い付かなかったから【 また明日 】っていう同じ種類の猫のスタンプを送っておいた。


光星とは随分打ち解けて仲良くなれたけど、まだまだ光星の扱いには慣れれそうにないのだった。





日曜日いっぱいチャリ漕いだ疲れもあって、その日は早くに就寝した。翌日アラームをセットしておいた7時丁度にすんなり起きれて、目覚めも良い。

朝ご飯を食べ、チャリキー片手に家を出る。


「永遠ほんまに自転車で学校行くん?大丈夫?」

「大丈夫大丈夫。時間50分もあるし。」


心配してくれる母親に余裕たっぷりでそう返事を返したが、余裕を持って居られるのはそれから僅か10分程度だった。


「…あれ?この道どっちやったっけ…?」


見事に道に迷った。道が合ってるのか間違ってるのかも分からなくなったから、とりあえずスマホを出して地図を見て道を確認する。


「あー!!間違ってるわ。」


来た道を引き返し、また正しい道からやり直す。怪しいところで止まり、また地図を見て確認する。

昨日覚えたコンビニの順番は学校から家までの道のりで覚えた順番だから何の役にも立たなかった。まあ目印にはなってるけど。


「えっやばい!もう8時半なるやん!!」


余裕を持って50分前に家を出たつもりなのに、道に迷い、スマホの地図アプリを見まくってたら、50分なんてあっという間に過ぎていた。


そして、俺の遅刻が決定した。


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