14 楽しい中間テスト期間(終) [ 23/50 ]

お姉さんと階段の方へ移動すると、そこには赤い顔をして階段に座っていた真桜の姿があった。頭を壁にぶつけたようで、手で押さえている。


「えっ真桜くんいつのまに!?」

「柚瑠がトイレにしては戻ってくるの遅かったから。楓ちゃんとなに喋ってんだよ…。」


真桜は恥ずかしそうに赤い顔をしながらもムッとふてくされたような顔を俺に向けてくる。


「ごめんごめん、いつからそこに居たんだ?」

「柚瑠の笑い声聞こえてきたあたりから。…なんか楽しそうに喋ってるし…。」


そう言ってムスッとした顔をする真桜の態度に、お姉さんがクスッと笑った。

階段を上り始めたお姉さんが真桜の横に立ち、グリグリと真桜の頭を撫でる。


「七宮くんの話聞いて姉ちゃん安心したよ〜、真桜くんが楽しそうな恋愛してて。また姉ちゃんにも恋話聞かせてね。」


お姉さんは真桜からの返事を求めている様子は無く、真桜が何か言う前に頭から手を離し、タンタン、と階段を登って行く。

そして階段の途中で振り向き、「もう邪魔しないから勉強頑張ってね!」と言い残して、部屋の中に入っていった。


いつも元気で騒がしく、歳より若く見えていたお姉さんが、不思議と少し大人に見える。それは、お姉さんが俺たちにとって心強い存在に思えたから、そんな風に見えたのかもしれない。


「あ、そういやトイレまだ行ってねえんだった。」

「…早く行ってきて。」


なかなか熱が引かないようで、まだ赤い顔のままツンとした態度で真桜がそう言うから、俺は急いでトイレに行ってから部屋に戻った。

真桜はベッドの上でうつ伏せになっていた。


「真桜、眠い?」


話しかけると顔の向きを変え、無言でこっちを見てくる真桜。

ベッドの横に腰を下ろし、真桜と目線の高さが合うように頭を下げて真桜の方を見ると、真桜の片手に頭を引き寄せられた。


「チュッ」と唇同士が合わさったあと、ジッと近距離で真桜が俺の目を見つめてくる。


「…俺の性癖まじで困る…。」

「ん?性癖?」


いきなりポツリと言葉を発したかと思いきや、真桜は顔を枕で隠して黙り込んだ。


「真桜?なんだよ、教えろよ。」


髪を触りながら顔を覗き込もうとすと、「ん〜っ」と唸り声を上げながらシッシと手で振り払われた。


あ、さては勃ってるのか?どのタイミングで?真桜が言う性癖が何なのかすげー気になるんだけどな。

でもこの様子からじゃ絶対教えてくれなさそうだから、俺もベッドに上がって真桜の身体に腕を巻きつけて抱きついてやった。


「真桜、教えて。」


耳元でそう言っただけで、ピクッと真桜の身体が反応する。敏感だなぁ。


「教えてくれたら真桜と遊んであげようかな。」


お姉さんが隣の部屋にいるけど。声我慢したら大丈夫かな?って、真桜に誘うような言葉をかけたら、真桜の顔がまたそろりと俺の方を向いた。


「…柚瑠の口から俺のこと好きって言葉聞くとすぐアソコ反応する。」


…ん?俺いつ好きって言った?

さっきからすごい悶えてるけどどのタイミングでこうなったのかが俺にはよく分からなかった。


「なんだそれ、可愛いな。真桜大好きだよ。」

「んッ」

「ふはっ!!!ガチで耐えてる、」


俺が笑ってしまったのがいけなかったようで、真桜がカッとなって俺を襲うようにガバッと勢い良く抱きついてきた。

真桜にしては強引にキスをしてきて、それと同時に硬いものをグッと俺の股間に押し付けられる。そこで俺は、必死に耐えていた真桜の気持ちを重々理解する。


「ンっ、」


欲情した顔で見つめられ、冗談を言うような空気じゃなかったのに今更ながらに笑ってしまったことに申し訳なくなってきた。


真桜のズボンの中に手を突っ込み、触ってやろうとその硬くなっていた真桜の息子を握るが、ちょっと嫌そうに腰を浮かせて俺の手を避ける。


「んんっ、いやだ、柚瑠としたい…っ」


それはセックスがしたいという意味で、余裕無さそうに真桜がそう言うから、俺はそんな真桜にキュンと胸を打たれた。

こんな真桜を前にして、俺が拒否できるわけがない。

俺は自ら服を脱ぎ、部屋の電気を暗くして、真桜の上に覆い被さってそのままガバッと布団をかぶった。


「音出ないように優しくして。」


俺からの頼みに真桜がコクリコクリと必死に頷く。


それからの真桜はほんとに優しく撫でるように俺に触れ、時間をたっぷりと使って久しぶりに真桜とした。


やっぱりテスト勉強を理由に真桜の家に泊まりに来ても、結局はいつもこうなるのだ。一緒にいたらしょうがねえよな。だって好きなんだから。



翌日、いろいろお姉さんにバレてないだろうかと少し心配だったけど、お姉さんはいつも通りで明るく挨拶してくれる。


「私今日は友達と遊びに行ってくるから二人とも勉強頑張ってね!」


そして俺たちに気を遣ってくれているのかは不明だが、午前中のうちから元気に外へ出かけて行った。


「やったぁ、楓ちゃん出てった。」

「おいおい、姉の外出を喜んでやるな。今日はちゃんと勉強するぞ。」


そうは言っても、勉強の合間合間に俺に触れてこようとする真桜に構いながら、楽しい楽しいテスト勉強の時間を過ごした。


こうして、2年秋の中間テスト期間も、いつものようにあっという間に終わったのだった。


楽しい中間テスト期間 おわり


[*prev] [next#]


- ナノ -