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「真桜。

…まーお。

……真桜??

………おい真桜ッ!!!!!」


校門を出て学校の帰り道、不機嫌そうにムスッとした顔で一言も口を開かない真桜に向かってキツく呼びかけると、ようやく真桜はこっちを向いた。


「なにムスッとしてるんだよ。あれか?俺が姫ちゃんにライン聞かれたから?」


どうやらそれが図星っぽく、また真桜は俺からフンとそっぽ向いた。


「でもまだ教えてないだろ?真桜が嫌なら断るけど?つっても後輩なんだからライン交換くらいはよくある話なんだけど。」


車の音がうるさくて、少し声を張り上げて言えば俺までなんか不機嫌になったみたいに思われたかもしれない。真桜がシュンとした表情で「ごめん」と謝ってきた。


「…今日はうち来る?」

「んー、やめとく。」


あ、また今シュンとしたな。
分かりやすく落ち込む真桜にクスリと笑う。


「嘘だよ、行く行く。」


そう言った後、丁度良いタイミングで信号に引っかかり、待っている間に真桜の髪をわしゃわしゃと撫でてやる。ちょっとだけ真桜の口元が緩んだから、少しは機嫌を直してくれたのだろうか。


俺たちの後ろでチャリを漕いでいた健弘と吉川に、「いちゃつくのは家帰ってからにしろよ。」と突っ込まれてしまい、無言で真桜の頭から手を離した。


信号を渡った後に健弘と吉川とは別れて、真桜の家にお邪魔すると、真桜のお母さんは仕事からまだ帰っていないようで家の中は真っ暗だった。

家の人が留守なのをいいことに、玄関で靴を脱いでいる俺の腰に手を添えられ、チュッとキスをしてくる真桜。


「はいはい、あとであとで。とりあえず部屋行こうな。」


真桜にべっとりと背中に抱きつかれながら、真桜の部屋に続く階段を登った。ぐりぐりと俺の肩口に顔面を押し付けてくる真桜に笑いながら、ガチャ、と真桜の部屋の扉を開ける。


「んん〜っ柚瑠とえっちしたい。」


部屋に入った瞬間に、真桜のアピールが激しくなった。首筋の匂いを嗅ぐように鼻を押し付けられ、真桜の足が俺の足に纏わり付いてくる。


腹に抱きついていた手が、ズボッとパンツの中に入ってきた。いきなり直に股間を触られて、くにくにと息子を手で擦られながら、せっかちな真桜に笑ってしまった。


「ふ、っ…ちょっ、さすがに座らせて。」


ガクッと片足から崩れるように絨毯に手と膝をつく。


「柚瑠は俺のだって言えたらいいのにな…。」


真桜は俺の息子を弄る手を止めず、そんなことを言ってチュッと頬にキスをする。


「あんな子と親しくなられたら、俺どんどん自信無くなる…。」


あんな子?

それって、姫ちゃんのこと言ってる?

徐々に触られている息子は反応し始め、気持ち良くなってきてハァ、と息を吐きながら真桜の声を黙って聞いていた。


「…柚瑠は、どう思ってるの?」


少し手の動きを止め、俺の顔を覗き込んでくる。


「どうって?…ハァ、っ…姫ちゃんのことか?…ただの、部活の後輩だよ…。」


せめて手を止めて聞いてくれないか、と思いながらも、下半身から襲ってくる快感に耐えながら真桜の問いかけに答える。


やたら姫ちゃんのこと気にしてるな。最近喋ったりすることも増えたし、やたらモテそうな子が俺にライン聞いてきたもんだから、気になっちゃったのかな。


「真桜、今日していいから。それでちょっとは安心できる?」


手を伸ばして、ポンポンと真桜の頭を叩きながらそう言ってやると、真桜は「はぁ〜」と大きく息を吐いてギュッと力いっぱい抱きついてきた。


「うん、できる。触る、いっぱい触る。」


真桜はそう言いながら、一度俺の身体から手を離した。勿論、諸々の準備をするためだ。


「何日ぶりだろ…、すぐイっちゃわねえかな…。」


新品のコンドームの箱を開け、ひとつ取り出しながら心配そうに独り言を漏らしている真桜が可愛い。


「ベッド上がる?」

「身体汗臭いぞ。」

「大丈夫、臭くないって。」


それじゃあお言葉に甘えて。シャツを脱いでベッドに上がり、仰向けに寝転がると真桜が俺の太腿の上に跨った。

バスパンの上からもみもみと息子が勃起しているか確かめるように揉んできたあと、ズリッとパンツと一緒に下げられた。


「柚瑠のももう勃ってるな。」


嬉しそうにそう言いながら、真桜自身もズボンを少しずらして、コンドームを取り付けた。


「真桜が可愛いからな。」

「どこが。」

「姫ちゃんより真桜の方が可愛いよ。」


こんな言葉は気休めかもしれないが、俺にとって真桜が一番なのだからもっと自信を待ってほしい。


「…“可愛い”はちょっと複雑だけど、柚瑠にそう言われるのは嬉しいな。」


慣れた手付きでローションで濡らした指で俺の尻に触れられる。やんわり優しい手付きの真桜の指がスムーズに出入りを繰り返し始めたところで、指を引き抜かれる。


「はぁ…頑張れよ…俺のちんちん。」

「ぶはっ!笑かすなって。」


下半身まで自信なさそうな真桜は、挿れてすぐイっちゃわないように、ゆっくりゆっくりと俺の中に息子を挿れて、ゆっくりゆっくり腰を動かした。


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