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【 健弘の休日2】


真桜は嫌そうな顔で俺の方を見る。


「誰だ?配達か何かか?」

「さあ…。タケ見てきて。」

「おい、ここ真桜んちだろーが。」


そうは言ってもパジャマで配達物を受け取るのは俺も嫌だな。と思ってやることにして、仕方なくゲームを一時停止してインターホンのモニターを見に行った。


「…おお、お前らか。」


そこに映っていたのは柚瑠とタカだった。
部活後だろうか?すぐに鍵を開けてやる。


「うーっす、誰かと思った。」

「お、やっぱタケ来てたか。一応ラインしたんだけどな。」

「俺ら練習早く終わって今から昼飯食いに行こうって話してたんだけど真桜どうしてるかなーと思って。」

「あー、真桜ならパジャマでゴロゴロしてる、…あ。」


玄関で柚瑠とそんな会話をしていた時、俺の背後を物凄い速さで通り過ぎた真桜がドタバタと階段を上っていった。


「…え、なんだ今の、高野か?」

「真桜まだパジャマ着てるのかよ。」


柚瑠はそう言って呆れたように笑っている。馬鹿だな、さっさと着替えねえから。


2、3分で2階から降りてきた真桜は、私服に着替えて髪を手櫛で整えながら照れ臭そうな笑みを浮かべて柚瑠の元に歩み寄る。


「…あ〜焦った、柚瑠来ると思わなかったからびっくりした。」

「ごめんいきなり来て。大丈夫だった?」

「うん、ぜんぜん。嬉しい。」


柚瑠とタカを家の中に招き入れると、テキパキとコップにお茶を注いでいる真桜を俺はこっそりジト目で眺めた。柚瑠が家に来るといつもこうだ。


俺はゲームの電源を消して、出掛ける支度をする。

腹が減ってきた頃だったからちょうど良かった。


「何食いに行く?俺オムライス食いたくなってきたな。バターライスの。」

「俺ステーキ丼。」

「じゃあフードコートにするか?みんな食いたいのバラバラっぽいし。」


柚瑠の提案に頷き、真桜の家を出てチャリで近場にある商業施設へ向かう。

休日のフードコートは賑わっており、座席がほとんど埋まっていたが、食べ終わりそうな人の近くで待機してなんとか4人席を確保した。


俺とタカが先にそれぞれ食べ物を注文しに行くと、そのあいだ真桜と柚瑠は隣同士に座りながらも顔を向け合って仲良く会話している。


俺が席に戻ってくると、すでにタカがステーキ丼を食べ始めていた姿のみで、真桜と柚瑠は二人でラーメン屋に並んでいた。


「なんかタカ久しぶりじゃね?新しいクラスどうよ。」

「すげー平和。教室で飯食っててもいじってくる奴いねーし。」

「それ平和なの?寂しくね?」

「つーかなんなら高野がいじってくんだけど、お前痩せなきゃなんねーだろ、って。俺別に太ってはいないぜ!?」


…ステーキ丼の肉をもぐもぐと口に入れながら言われてもなぁ。タカの話に軽く笑いながら俺がオムライスを食べ始めたところで、柚瑠と真桜がラーメンを持って戻ってきた。


「真桜もラーメンにしたのか。」

「ここのラーメン前別の店でも食べに行って気に入った。」


そう話す真桜のお盆の上には餃子が乗っている。

珍しくよく食うな。と思っていたら、そのお盆に乗った餃子を食べたのは柚瑠だった。ちなみに柚瑠のお盆の上には焼き飯も乗っている。


「…うわ、柚瑠ってタカ並みに食うな…。」

「練習疲れてまじ腹減ったんだよ。見逃して。」

「だよなぁ、俺も。ラーメン美味そうだな…俺も食おっかな。」

「お前正気かよ。」


自分が少食というわけではないはずなのに、運動部と一緒に飯を食ってると自分が少食に思えてしまった。


その後、飯を食い終わり、俺は通りかかったアクセサリーショップに立ち寄らせてもらった。柚瑠とタカは興味なさそうに吹き抜けになっているガラスに凭れ掛かり1階を見下ろしている。


俺は真桜を無理矢理引き連れ、新しいピアスを買おうかと商品を手に取る。


「お、真桜これどうよ。今のよりゴツめのリングピアス。」

「いいんじゃねえの。」

「真桜も買おうぜ。」

「えー、今ので十分だし。」


真桜はせっかくのこの見た目なのだからもっと髪型とかもいじり倒して欲しいのに、新しいピアスも拒否られて俺はちょっと残念だ。


結局何も買うことなく、退屈そうに待っている2人の元に戻って、解散することにした。


真桜と柚瑠は二人で仲良く帰っていったから、このあとは真桜のお楽しみタイムなのだろう。


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