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真桜の自由時間に合わせて俺も自由時間を貰い、校舎内を二人でぷらぷらと歩いた。
どこを歩いても真桜への視線が凄まじく、真桜はちょっと居心地が悪そうにしている。憧憬の眼差しを向けられているのだがやっぱり見られていると落ち着かないのかな。
「柚瑠、どっか落ち着くところでご飯食べよ?」
そう言ってきた真桜に頷き、模擬店で買った食べ物や購買で買ったサンドイッチや飲み物などを持って、人気の無さそうな場所を目指した。
結局人気の無いところで辿り着いた場所はバスケ部の部室で、扉を開けて中に入った瞬間に真桜は俺に抱きついてきた。
「ん〜ッ、柚瑠かわいい…。」
「おい、髪に鼻押し付けんなよ。」
汗臭そうな自分の頭の臭いが気になるのに、真桜はグリグリと俺の髪に鼻を押し付けてくる。
「冷めるから早くそれ食おうぜ。」
3年生の模擬店で買った焼きそばを見ながら真桜に言うが、真桜はギュッと俺を抱きしめたまま離さない。
チラ、と俺の顔を覗き込み、目が合ったらチュッと唇を重ねてきて、何度かチュッ、チュ、とキスを繰り返してからようやく満足したらしい真桜は、にこにこしながら俺から手を離した。
「スーツに対してはコメントないのかよ。すげー暑苦しい服頑張って着てんだけど。」
「ん?似合ってる。かっこいいよ。」
「…なんか俺が言わせた感満載だな。」
「柚瑠はいつも何着てもかっこいいよ。でも今日は髪が特別かわいいから…。」
「…そりゃどうも。」
やっぱりスーツ姿が良いとかはなく、真桜は俺が臭そうな練習着着てたって良いと思ってくれてるんだから、真桜のそう言ってくれるところが俺も好きだな。
「真桜も。今日すげーかっこいい。」
「…そう?」
「うん。その服まじで似合ってる。」
「……柚瑠に言われると照れるな。」
お互いを褒め合いながら飯を食い始め、なんだか照れ臭くなる空気を作ってしまった。
「あとで健弘に写真撮ってもらおうぜ。」
「うん!」
元気いっぱいに頷いた真桜にクスリと笑いながら、焼きそばを啜る。
飯を食っている途中に、俺と真桜のスマホから同時にぶぶっと振動する音が聞こえてきた。
「…ゲッ、タカに探されてる。」
「あ、ほんとだ。6組真桜がいないと集客率下がんじゃね?」
「…知らねーよ、もうちょっとだけ。」
スマホをしまってタカからのラインを見てみぬふりをした真桜は、再び俺に抱きついてきた。
俺の股座に手を伸ばし、軽く揉んできた真桜に「オイ」と突っ込むと、真桜はふっと笑いながら股座にある手をそのままに俺の首筋にチュッとキスマークが付かない程度に緩く吸い付き、ペロッと舐める。
「勃起してもしらねーぞ。」
そこを確認するように俺も真桜の股座に手を伸ばすと、俺の手を避けるようにもじっと足を動かした真桜。
「うわ、もう勃ってんじゃねーの?」
俺の手を避ける真桜に笑っていると、首筋にあった真桜の唇がまた俺の唇にチュッと吸い付いた。
頬に手を添えられ、舌で俺の唇をこじ開け、俺の口内には真桜の舌を入れられる。
俺の舌と真桜の舌が絡まり合い、「ぁ…」と互いの声と息が漏れる。
「…ぁ、…これ以上はやべぇかも…。」
「ほれみろ。」
赤い顔をした真桜にククッと笑っていると、ブーブーと俺のスマホが震える。画面を確認するとタカからの着信だった。
「もしもし?」
『あ、柚瑠?お前高野と一緒にいるだろ?連れて来てくんねー?クラスメイトが探してるんだよ。』
「今自由時間じゃねえの?時間終わったらちゃんと戻るだろ。」
『いや、でも早く戻ってきてほしいらしくて。いろんな奴に高野くんどこ?って聞かれるって。』
「は?知らねーっつっとけよ。時間終わるまで戻んねーよ。」
そこまで言って、俺はタカとの通話を終わらせた。
「な。もうちょっとゆっくりしてようぜ。」
そう言って今度は俺から真桜の首に腕を回して抱きつくと、真桜は嬉しそうに笑って「うん。」と頷いた。
みんながこのイケメン高野真桜を見たがる気持ちはよくわかるが、この時間だけは思う存分、真桜を独り占めさせてもらった。
「だって真桜は、俺の真桜だもんな。」
2年目の文化祭 おわり
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