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【 真桜の休日2】
「お前絶対あとで俺をおかずにして一人でシコシコしてそうだしそうはさせんわ。」
ジャージとパンツをグイッと上げながらそんなことを言い出した柚瑠に、今度はドン、と俺の身体が押し倒されたあと素早く俺のズボンのジッパーを下げられてしまった。
「俺だって気付いてんだっつーの、真桜がキスの時点で勃起してることくらい。」
パンツの入り口から躊躇なく俺の性器に触れてきた柚瑠に、俺は愕然としてしまう。
「俺も乳首舐めてやろうか?それともこっちにしてやろうか?」
「……え。」
返事に困り、俺が躊躇っているあいだに、まさかのパクッとソレを咥えてしまった柚瑠。
「…ぅあッ!」
突然の感触、温かい柚瑠の口に覆われ、俺はそれだけでもう興奮材料になってしまい、身体がブルブルと震えてしまった。
そして柚瑠の唇が、チュプ、と先っぽにキスをするように吸い付き、一瞬で込み上げた快感と、柚瑠の唇の感触のことを考えたら、恥ずかしいことに俺はものの数秒で果ててしまった。最悪だ。
あまりに早すぎて、キョトンとしている柚瑠の顔面には、俺が吐き出したものがべっとりと付着しており、泣きそう。
「…へ、…すげー早漏。」
「…死んでいい?」
「とりあえず俺の顔拭いてからにして。」
笑うのを堪えるように身体を震わせながら俺を見る柚瑠に、俺はやっぱり泣きそうになった。
せっかく大好きな柚瑠と居る時間なのに居た堪れなさすぎて、俺はその後柚瑠にシャワーを提案した。すると、数分でシャワーを浴びてきた柚瑠がさっぱりした表情で俺の部屋に戻ってくる。
「クククッ、真桜元気出せよ。俺別にお前が早漏でも嫌いになったりしないって。」
「柚瑠が笑うから余計に落ち込むんだろ!!ううっ…」
柚瑠によって傷を抉られ、俺は絨毯の上に座ったまま、ベッドの上の枕に顔を突っ伏した。
そんな俺の隣に座った柚瑠が、ポンポン、と肩を叩いてくる。
顔を上げると、チュッと俺の唇にキスをしてくれた柚瑠に、俺の恥ずかしさで沈んだテンションが一発で元に戻った。
「柚瑠ぅ。」
俺はまたガバッと柚瑠を襲うように勢い良くハグをする。チュッ、とまたキスをし始めてしまうと、俺の気分はまた振り出しに戻ってしまう。
「しっかし真桜は知れば知るほど結構ポンコツなところが見えてくるよな。」
「…えぇ。」
…柚瑠にポンコツって言われた…。けれど自分でもその自覚は大有りだ。長所よりどちらかというと短所の方が多い。
柚瑠にはすでに恥ずかしいところばかり見せてしまっている。それでもそんな俺のことを柚瑠は『好き』と言ってくれて、これ以上の幸せは無いと思う。
「真桜は俺と付き合って正解かもな。顔が良い分、それだけで近付いてきた悪い女に弄ばれそう。そんで、こっぴどい振り方されて泣いてそう。」
笑い混じりな柚瑠にそう言われ、反応に困る。でも『泣いてそう』というのは多分そうかもしれない。
柚瑠に振られたら俺大泣きして暫く立ち直れないと思う。布団の中に潜って出られなくなるかもしれない。
「今日は昼なのにまだパジャマ着てたし、ひょっとしていっつも休みの日パジャマで過ごしてるんだろ?」
「…えっ、あっ、いや、…今日はたまたま…。」
「ほんとか?」
疑うような目で見られ、俺は柚瑠から目を逸らして口を閉じた。次の休みからちゃんと起きたら着替えよう。
「ん〜と、あとはな〜、」
「まだあんのかよぉ!?」
もう恥ずかしいからやめてくれ、という気持ちで柚瑠に目を向けると、口を押さえてクククと笑われてしまった。
「真桜かわいいなぁ、庇護欲沸いてくる。」
「え、それは…ちょっと複雑なんだけど…。」
庇護欲?俺が?
それは絶対拭ってもらわないとダメな俺のイメージだ。絶対俺がダメダメすぎるからだ。
もっと俺は、柚瑠に頼りにされるような人間になりたい。どうすれば性格って変われるんだろうな。
「まあいいじゃん、俺はそのままの真桜が好きだよ。」
俺を見てにこりと笑みを浮かべてそんな言葉をくれた柚瑠のことが俺は好きすぎて好きすぎて、抱きしめた手を暫く離せないまま時間が過ぎて行った。
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