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俺は今日、光星との二回目のセックスを経験して分かってしまったことが二つある。
一つ目は、光星が自覚無くサディズムっ気があるということだ。光星くんは優しい優しい性格のはずなのに、行為の最中になるとその優しさはいつの間にか消え失せている。
俺は光星に与えられる刺激に耐えながらも見てしまったのだ。
俺の中をひたすら突き続け、キスをし、俺の顔をまじまじと見つめる。その光星の口角は嬉しそうに上がっており、「はぁっ」と熱い息を吐きながら、よしよしと頭を撫でてくれるくせに、俺がしんどくて止めて欲しくて首を振ってもさらに口角を上げて、さらにはぺろっと舌を舐めずって、ひたすら喘ぎ、耐える俺を爽やかにも見える良い顔をして見下ろしていたのだ。
俺はそんな光星の普段は絶対に見ることのない顔に、ぶるっと身体が震えてしまった。『この人、俺の喘ぎ声聞いて、イってる顔見て興奮しまくってる…』って、ちょっとぞくっとしてしまった。ていうか人の顔見過ぎ。
そしてその後のビクビクッと光星の下半身が震え、ビュッ、ビュッ…と中に出されている感触が分かった時が俺は物凄く好きだ。これが、俺の二つ目の分かってしまったことである。
どれだけ身体がしんどくても、キツくても、最後のそれが俺に達成感を味わわせてくれる。中に注がれている瞬間が、何故かたまらなく幸福感を味わえる。
我ながらよく分からないけれど、ヤり終えた後もその時の事を思い出したらめちゃくちゃ興奮してしまい、また次はいつ中に出してもらえるだろうだなんて、頭がイカれたことを考えてしまっていた。
しかし終わった後はもうヘトヘトだ。腰はだるいし足もなんかちょっと痛い。暫し昼寝をするつもりが、起きたらもうとっくにお昼を過ぎており、何故か家には侑里がいる。
寝起きの全然働かないぼーっとした頭でズボンを穿いていないことすら気付いていなかった。危なかった。姉に見られたら『なんでパンツやねん』って突っ込まれてしまうところだった。ていうかなんで姉ちゃんもう家居んねん。もっと遅くに帰ってくると思ってたのに。
姉と侑里は居間で映画を見始めたから、俺と光星は遅い昼食を食べた後そっと静かに部屋に戻る。
どうせ二人は映画を見ているだろうから、と二人の存在は気にせずベッドの上で光星に抱きついた。また目を閉じたら爆睡できそうだ。
光星がよしよしと頭を撫でてくれるのが気持ち良い。身体はしんどいはずなのに、また光星と素肌をぴったり合わせて、触れ合いたくなってきてしまった。
自分から光星の顔に唇を寄せて、チュッと一度だけキスすると、光星は嬉しそうににこりと笑ってキスを続けてきた。チュッ、チュッ…と吸いつく感じのキスをされるのも気持ち良い。ちょっと下半身が反応しそうでもじっと足を動かした。
「んん…、ねむいなぁ。」
光星くんともっとイチャイチャしてたいけど、眠い。まだもうちょっとえっちしたかったかもな…なんて思ったりもするけど、残念ながら身体が全然追いつかない。
光星くんがもうちょっと優しく、お手柔らかに抱いてくれたらなぁ…とかいう不満はあるものの、そうしたら射精の勢いも変わってしまうか?なんて考えたら、『もうちょっと優しくして』とも言い辛い。変な拘りを持ってしまっている自分にちょっと引く。実際光星にも引かれてた気がするけど、それならお互い様だ。俺だって人の顔をまじまじと見ながら人の喘ぎ声を聞いて興奮している光星にはドン引きだ。
お互いのドン引きな部分には目を瞑り合って、愛を深めていこうではないか。
「俺光星くんとえっちするの好きやわ。しんどいけど。」
またうとうとと寝そうになりながら光星に抱きつき、ボソッと小声で呟いたら、光星の顔は少し赤くなった。
「え?ほんと?よかった。」
光星はそう返事して、安心するようにホッと息を吐いている。俺がしんどいしんどいって言い過ぎたから心配してたのかもしれない。
「もっとオナ禁して溜めてから出してみてほしい。ビュッ…じゃなくてドッ…ビュンン!!って感じで。勢い凄いのが良いな。」
「……は??」
「溜めて、溜めて、溜めて、我慢しまくって、ガクガクッビクビクビクッ…!ってなりながらドッピュウ〜!!ビュクビュクビュッって出してみてほしいな。」
「…はあ?ちょっとなに言ってるかわかんない、」
「粋が良いの頼むわ。」
「…はい???」
目を閉じて、半分寝言のように自分でもよく分からない願望を口にしていたら、いつのまにか仮眠していた。
「えっ、…は?…いきなり寝んなよ…。」
だから自分の発言を光星にドン引きされている事には気付いてない。眠たかったから、自分でも何て言ったのかはイマイチよく分かっていないのだった。俺あほやん。
でもそれから何分経ったかは分からないが光星の俺の頭を撫でる感触ですぐにまた目覚めた。その後もずっと身体はだるくて、ベッドの上で光星の身体にもたれ掛かりながらスマホゲームをしたりして過ごした。
そしたら急に侑里に部屋の扉を開けられたりして、ちょっとキレた。親でもちゃんとノックするのに。
「香月まだ帰んねえの?」
夕方の5時を過ぎても侑里がまだ俺の家のリビングで寛いでいたから、光星がそう問いかけると侑里はあっけらかんとした顔で答えた。
「あ、そうそう。俺今日泊まらせてもらうねん。」
「え?そうなん?どこに?姉ちゃんの部屋?」
「そこはまあ、…臨機応変に。」
まあ姉の彼氏なのだから侑里が姉の部屋に泊まってもおかしくはない。けれどその返事にはなんだか少し歯切れ悪く、「…永遠の部屋とか。」とボソッと口にしてきた。
「え?なんで俺の部屋なん?」
「いや、ほら、…だって、さすがに永菜の部屋はなぁ?…一晩耐えられる自信ないわ。」
「ふぅん、別に良いけど俺んち予備の布団ないで?座布団くらいやったら貸してあげられるけど。」
「座布団で十分です。」
侑里とそんな話をしていたら、「えぇっ…」と光星が不満そうな顔を向けてきた。どうやら俺の部屋に侑里が泊まるのは光星の方が嫌そうだ。
「あ、光星も泊まってく?光星くんは俺のベッドで寝ていいで。」
姉が聞いているかもしれないけど別にいいかと構わずそんなことを言ってみると、「扱いの差ひどっ!」と侑里が突っ込んでくれた。
「じゃあ泊まる。」と即答している光星が、すぐにスマホを手に取り家の人に連絡を入れている。
「じゃあ晩ご飯は私が何か作ってあげるわ!」と途端に姉が張り切り始め、さっそく冷蔵庫を覗いて夕飯の準備を始める姉の周りを侑里がうろちょろしている。
でかい図体にうろつかれて邪魔そうやな。と思っていたら、やっぱり姉に「邪魔やしあっち行っといて」とシッシと振り払われていた。
自分の彼氏のくせに、扱いはなかなかに雑である。
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