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光星との旅行後、鬼のように出されている夏休みの宿題に数日かけて全力で取り組んだ。宿題に、文化祭準備に、たこ焼き作りの研究と自主練に、旅行後はあまり遊ぶこと無く真面目に過ごしているけど、それなりに充実した夏休みを送れている。俺の家でクラスメイトとたこ焼き作りの練習とかもしたりして、かなり打ち解けられて普通に話せるようになってきたのが嬉しい。たまにクラスメイトの標準語が移ったりしていて恥ずかしいけど良い傾向だ。


宿題に追われているうちに早くも夏休みの半分が過ぎようとしており、光星に会わない日が数日続いていたところで、【 そろそろ永遠くん不足です 】というちょっと畏まったラインが光星の方から送られてきた。なんとなくエロい意味っぽい気がする。

そろそろ二度目のあの行為を誘われる頃だろうか…と考えながら、俺はベッドの上で左右の足の裏同士をくっつけてググッと頭が足にくっつくように上半身を前に倒してストレッチをした。

両足をパカッと開きながら挿入されるあの体勢が結構キツくて、あれから股関節がちょっとでも柔らかくなるようにストレッチするようになった。挿入されてできるだけ痛くならないように、お尻を慣らすのも密かな日課だ。

恥ずかしい事に一度のセックスで結構足腰にきてしまったので、会おうと思えばいつでも会えたけど休息時間として夏休みの宿題を言い訳に光星と二人で会うのを避けていたとも言える。

でも光星が俺不足なら仕方ない。

宿題はまだ終わってないけど、光星くんからのお願いはなんとしてでも聞いてあげたい光星くん大好きマンなので、少し覚悟しながら光星にオッケースタンプ付きでラインの返信をしておいた。


その後のやり取りで【 宿題まだなら一緒にやろう 】という意外にも真面目な誘いを受けるものの、続けて送られてきた【 泊まりに来ない? 】という文字を見て、やっぱ目的はアレか!?とそんなことばかり考えてしまう自分をどうにかしたい。


まだ俺は身体が追いつかないのに光星の俺を見る目がいつも物欲しげに見えるから、無意識に焦ってしまっているのかもしれない。光星の期待を裏切るのは嫌だから、誘われたら断りたくないのもあって、余計に身構えてしまっていたんだろう。



翌日、午前中のうちから宿題を持って光星の家にお邪魔すると、家の人は留守なのか中はガランと静かだった。


「家誰も居はらへんの?」

「流星が部屋で勉強してるよ。」

「あ、流星くん居はるんか。」


ホッ…

…ていやいや、なにホッとしてんねん俺。さすがの光星も昼間からいきなりえっち誘ってくるわけないやろ。


セックスすることにびびっているだけであって、光星とイチャイチャするのは好きなので、部屋に入らせてもらうとすぐに光星に抱きつきにいった。

するとでれっと嬉しそうな顔をしてくれる光星が俺の身体を抱きしめ、キスをする。

チュッ、チュ、とキスを繰り返したあと、俺の首筋に顔を埋めて「は〜」と息を吐いている。光星の息が当たってくすぐったくて身を捩っていると、チラッと上目遣いで俺を見ながら「次いつできる…?」って控えめな態度で聞いてきた。

聞かなくてもそれがセックスのことを聞いているってことくらい雰囲気で分かる俺は、「んん〜、そうやなぁ…。」って考えるような素振りを見せる。


『しよう』って誘ってくるのじゃなくて、『いつできる?』って俺に聞いてくるのがちょっとずるい。『しよう』『したい』ってグイグイ来られるなら『しゃあない、やったろか』ってなるのに、『いつできる?』って俺に伺うような態度なのが光星の優しさを感じて、今すぐにでもしてあげたくなる気持ちになるからずるい。


「家に家族がいーひん時かなぁ…。」

「……だよな…。」


俺の返事に光星は『分かってました』というように残念がるような態度でぐったり俺に抱きついてきた。

…光星くんかわいいなぁ。やりたくてしゃあないんやな。でも家には流星くんがいる。『今日はできない』と諦めたのだろう。


「じゃあちょっとだけ触るのは良い…?」

「うん、いいよ。」


そんなのはいつもやってたことだ。

光星のお願いに頷くと、光星は俺を抱っこしてベッドに上がる。ベッドに二人でごろんと横になると、すぐに俺を抱きしめた光星の手が俺のシャツの中に入ってきた。


その手は腰や背中を撫でた後に乳首に触れてくる。くりくりと摘んで、指の腹で撫でられて、俺のシャツが捲り上がると光星はチュッと乳首に吸い付いてきた。


ピクッと身体が反応する俺に、光星は続けてぺろぺろと舌先で俺の乳首の周りを舐めた。手が自由になるとまた俺の腰や背中に触れ、いやらしい触り方をされ身体がゾワゾワしてきてしまう。


片方の乳首が光星の唾液で濡れまくると、今度はその横の乳首にも吸い付かれ、またピクッと身体が反応し、咄嗟に「んっ」と声が漏れそうになってしまい口を手で押さえた。


「大丈夫、それくらいなら隣の部屋には聞こえないから。」


光星はそう言いながら俺の手を掴み、口を押さえるのを阻止してきた。まるで声を出させようとしているかのようにひたすら乳首を刺激され、チュッチュと吸われてまた「ぁッ」と小さく声が漏れる。


すると俺の耳元で「かわいい」と囁かれ、今度は唇にキスされながらお腹を撫でられる。光星くんえろい。色っぽ。


「ほんとにかわいい、ずっと見てたい。」


キスの合間にまた囁かれ、そう口にする光星の目は、その発言通りジッと俺の顔を見つめていた。


「光星ほんまに俺の顔好きやなぁ。」

「うん、好き。かわいい。」


光星はそう言って俺の身体に覆い被さってきて、チュウチュウと唇を吸ってきた。吸われるのが官能的で、されるがままになっていたら、当たり前のように光星の勃起した股間をグリグリと俺の股間に押し付けられているけどわざとだろうか。無意識だろうか。

でもいやらしく光星の腰は揺れて、足も俺の足に絡めるように動かしてくるから、きっと光星の中にあるやらしい気持ちに身体が自然に動かされてるんだろうな。


そんなことを考えながら光星からの愛撫を受けていたら、途中で動きを止めた光星が俺の首筋に顔を埋めてぐったりしながらぽつりとぼやいてきた。


「…真昼間から俺何やってんだろ。」


急に我に返ったのか、「ちょっと触るだけって自分で言ったくせに…。」とぶつぶつひとりごとを言って、それからしばらくの間静かによしよしと俺の頭を撫でてくるだけだった。


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