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「うわ〜、翼くん眠そ〜。」
休み時間、大口開けて欠伸をした俺は、隣の席の女の子に笑われてしまった。
「昨日全然寝れなかったんだよ。」
「えー、なにしてたの?」
「湊が泊まりに来ててベッド貸してやったんだけど、寝てたら上から湊が落っこちてくんだよ。」
勿論高校は同じで、1年の時は違ったけど2年になって同じクラス。少し離れた席に座る湊をジト目で眺めながら話せば、隣の席の子、佐々木さんから「相変わらず仲良いねぇ。」とクスクス笑いながら言われた。
その直後、ガタリと音を立てて席から立った湊が振り返り、俺の方へ向かってくる。
「つばさー、便所行こ。」
何を言ってくるのかと思えば便所の誘いで、佐々木さんはそんな湊を見てますます笑っている。
チラリと無愛想な態度で佐々木さんに視線を向けた湊に、佐々木さんはハッとしながら笑うのをやめた。
「何話してたんだよ。」
便所へ向かう最中、ムスッとした顔の湊に問いかけられる。
「お前が昨日の夜、ベッドから落っこちてきた話。」
また俺は、「ふぁ、」と欠伸を漏らしながら湊に返事をした。おかげさまで俺は寝不足なんだよ。
「どうせお前落ちてくるんだから、最初から床で寝てくれよ。」
「だってベッドの方が寝やすいもん。」
「いやだからどうせお前落ちてくるだろうが。」
とか言いつつ俺、嬉しいくせにな。
ほんとは嬉しいけどそれを隠して、湊に悪態をつくのが、俺の日常。
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