航の説教、るいの反省 [ 27/172 ]
「…航ごめんな…?」
二人きりになった瞬間に謝罪しながら航を見つめると、航は俺からそっぽ向いて無言でお皿を棚から取り、白ご飯をよそい、カレールーを流し入れた。
やっべえ、完全に航を怒らせた。
確かに俺が無神経だった。あまりにあの子がしつこいから、さっさとカレーを食わせりゃ帰ると思ったのだ。
俺の航への配慮が足りなかった。完全に俺の落ち度だ。
もうこんなことは二度とないように反省したい。
暫くの間そんなことばかり考えていて、黙り込んでいると、航が俺の目の前にカレーライスのお皿を置いてきたから、ふと顔を上げる。
「俺の毎日の楽しみはるいと食べる夕飯なんだぞ。今日はカレー作ってくれるって言うからすっげー楽しみにしてたのに。」
航と目が合うと、航はちょっと拗ねたような顔して、そんなことを話してくれた。
「別に女の子連れてくんなって言ってるわけじゃないけどさ、あんなあからさまに好意持たれてる子を家に上げるのちょっとどうなんだよって思う。」
「…ごめん。まじ反省してる。」
「るいはもうちょっとモテることを自覚してほしいんだよね。完全にあの子るいとえっちする気満々だったじゃねえか。一夜の過ちで彼女に赤ちゃんなんかできたらお前、俺との未来はパアだぞ?」
「え?…いや、ないないないない。」
突然なんだその話題は。
「俺は真面目に言ってんだからな。」
やたらと饒舌に話す航は、パクリと一口ご飯を食べる。
モグモグ、噛んで、ゴクリと飲み込み。
グビッとお茶を飲んで、また口を開いた。
「もしもの話をしようか?成人したらお酒飲むじゃん?お前が酒強いか弱いかは知らねえけど、酒ぐびぐび飲まされて酔わされて気付けばホテル、とかお前なら普通にある気がするんだよね。」
「ないないないないないない。」
「だからあるんだって。お前高校ん時媚薬飲まされたことあるじゃねえか。」
「あああああそれはもう言うな!」
「だから俺は気をつけろって言ってんの!お前貞操狙われまくりなんだからな!!」
「…んー。……うん…。」
なんだか少し納得はいかないが、航に睨まれたからとりあえず頷いておく。
モグモグモグモグ…
無言でカレーライスを食べ進める航がゴクリと飲み込み、また口を開く。
「お前コンドーム持ち歩いてんだろ?まあ仮に一夜の過ち犯したとしてもコンドームは絶対つけろよな。」
「だからないってば!!!!!」
なんか話の流れが嫌なんですけど!
なんでこんな話になってんだ!?
「言っとくけど俺はるいを信用してないわけじゃねえけど、お前の意思関係なくって場合もあるから言ってんだぞ。」
「……んー。分かった、気をつけるけどさ…。俺男だぞ?女の子じゃあるまいしさすがに俺の意思関係なくってのは、」
「俺は真面目に言ってんだからな!!!!!」
「あああ分かった分かった分かったから!!!ごめんごめん気をつけるから!!!」
あまりに航が真剣だから、俺は必死で頷いたところで、ようやくその話題は終了した。
俺は少しホッとした。
そもそも俺航にしか勃たないと思うんだけど…
あ、そういう問題ではないって?
…うーん。
航の説教、るいの反省 おわり
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