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六人用のテーブルに着いて、カレーを食べる。


「どう?美味しい?」と俺の顔を覗き込んでくるるいに頷くと、るいは嬉しそうに微笑む。


「あかりこぼしてるこぼしてる!!」

「あぁあぁ!布巾布巾!」


るいの正面に座っていたあかりが、そんな俺とるいのやり取りをコーヒーを啜りながらジッと眺めていたようで、ボタボタとテーブルの上にコーヒーをこぼして隣に座った由香となっちくんがアタフタしている。

そんな、コーヒーをこぼした直後のあかりにチラリと視線を向けたるいが、まるで見せつけるように俺の胴体に腕を回して抱きついてきた。


「おい腕邪魔なんですけど。」

「あかりちゃんに牽制中。」


あかりを見つめながら、はっきりとそんなことを口にしたるいに、あかりは「やっばいイケメン直視できない」と目元を手で覆った。


「もうあかり自分でテーブル拭けよ!!」


こぼれたコーヒーを布巾で拭いていたなっちくんが、呆れながらあかりに布巾を押し付けている。

やっぱり出会って間もない頃はちょっと猫かぶってやがったな、と思わせるほど砕けた態度になったあかりに、なっちくんも扱いが雑になってきた。


「ごめんごめん」となっちくんに謝るあかりの目の前でるいはテーブルに肘をついて顎を手で支え、ジー、とあかりを見つめている。

そんなるいの視線に気付いたあかりが、チラ、とるいに視線を向け、サッとすぐさま目を逸らした。


「なになに航ダーリンがあたしのこと見つめてるっ「あかりちゃん?」はいっ!!!」


由香にコソコソと話しかけている最中にるいに名前を呼ばれたあかりは、背筋をピンと伸ばしてとても良い返事をした。


「俺さあ、まじ心狭いんだよねー。」

「そ、そうなんですか…!」

「うん。だから航が女の子と仲良くしてるってだけですげーやだ。」


にっこり、るいは笑いながら話しているが、牽制って言ってるだけあって黒いオーラが出ている気がする。俺が言うのもなんだけど。


「あかりちゃんさー、さっき航の腕にぎゅーってくっついてたじゃん?」

「あっ、あ、あれは!不可抗力で!」

「あんなんとか俺まじ妬ける。」

「ごめんなさいごめんなさい!」

「るいこえー…。」


るいに謝るあかりを見て、今まで大人しくしていた仁が呆れたように口にした。


「いいよ。さっきのは不可抗力だもんね。」


謝るあかりに、にっこにこ、満面の笑みを浮かべたるいが、そう口にした直後にスッと顔面から笑みを消し去った。

真顔であかりを見つめたるいに、あかりは唾をごくりと飲み込んだようで、喉が上下に動いている。


ジー、と数秒間あかりを真顔で見つめたるいは、その後ようやく口を開いた。


「よし。牽制完了。」


そう言いながら、クールにコーヒーを飲み始めたるいに、あかりは「はぁはぁ!心臓に悪い!」と呼吸を荒くしながら由香に寄っかかっていた。この子まじウケる。


その後はみんなあかりの反応に笑っており、和やかな雰囲気で会話をしながら楽しんだ。


いまだに、あかりに良くない視線を向けている女の子たちの存在には、気付かずに……



「あの女がるいくんの彼女だったらまじ納得できない!」

「ほんとそれ!釣り合ってないから!」

「別れさせちゃえばいいんだよ!」



……女の子って、こわい。

どうやら俺、友岡 航の存在は、まだ彼女たちの眼中には無いらしい。

敵視されないことを、祈るばかりである。


5. るいの牽制彼女に嫉妬 おわり


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