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「あったあった。」


アルバムを引き出しの中から見つけだし、アルバムを持ってベッドの上に寝っころがる。

俺が寝そべると、るいもその俺の隣に寝そべってきた。ぴたりとくっつく腕や肩。部屋に入って二人きりになった途端、こいつ妙にひっついてきやがるな。

まあいい。


「それでは友岡航幼少期の激かわ写真をとくとご覧あれ。……あ、待った。」


アルバムを開けた瞬間に飛び込んできたのは、3才くらいの頃の俺が全裸で母ちゃんに怒られて半べそかいている様子の写真だったから、恥ずかしくてアルバムをすぐに閉じた。


「おっ?なんかいきなりおもしれーのだったぞ?」

「うん。なんかいきなりおもしろかったな。1ページ目は飛ばしましょう。」

「だめだめ、見せて。」

「あっこら!」


横から強引にアルバムをるいに奪い取られてしまった。

1ページ目を開けるるいは、「なにこれかーわいー」とニタニタしながら写真を見始めてしまった。恥ずかしい気持ちで横から写真を見ていると、それは突然のことだ。


『カシャ』

「あってめえ!!!!!」


るいがしれっと携帯で写真を撮っていた。なに撮ってやがる!とるいの携帯に掴みかかろうとするが、るいは俺の手から携帯を遠ざけて、もう片方の手で俺の手首を掴んできやがった。


「はいはい、続き見せて。」

「今これの写真撮ったんじゃねえだろうな!?絶対消せよ!?……絶対消せよ!?」

「うん消す消す、あとでな。」


るいは携帯をポケットにしまい、俺の手首を掴んだまま、アルバムのページをめくる。


「うわー、やんちゃそー。」

「あ、この俺すげえ可愛い。」

「うん可愛い可愛い。」

「お持ち帰りしたい可愛いさだな?」

「うんお持ち帰りしたい可愛いさ。」

「やだ〜るいきゅんショタコ〜ン!」

「何言ってんの?俺航コンだよ?」

「冗談を真顔で返すのやめてくれる?」


恥ずかしいことを言ってくるるいは、鼻歌交じりにアルバム鑑賞を再開させた。俺もまた横からアルバムを覗き込む。

るいとほっぺたがくっつきそうな距離でアルバムを見ていると、気付かぬうちに部屋の扉を開けていた兄ちゃんがこっちを見ており、「いやいやお前らくっつきすぎだろ」と兄ちゃんにしてはわりと冷静なツッコミを入れてきた。


「うわっ!いきなり部屋入ってくんな!!」

「え〜?いきなり部屋入ってまずいことでもしてたのぉ〜?」

「うっぜえな!してねえよ!つか何の用だよ!」

「俺と母ちゃん夕飯の買い出し行ってくるから。」

「へー。行ってらー。」

「…ねえねえ、男子校通ってたらその距離感はわりと普通なわけ?」

「あー普通普通ー超普通ー。キスとか普通にできちゃう感じー。なーるいー?ちょっとチュッてやってみて。」

「チュッ。」


適当なことを言ってるいにそう頼み、俺の頼み通りに『チュッ』とキスをしてきたるいに、俺はニシシと笑って兄ちゃんを見ると、兄ちゃんは唖然としていた。うける。

兄ちゃんはきっと男子校恐るべし、と思ったことだろう。兄ちゃんは共学高校出身だから。

高校は絶対に制服がかっこいい共学校へ行くんだ!って言って兄ちゃんが必死に受験勉強していたのを覚えている。


「ま、まじでキスした…!」

「ディープもできちゃうけど見たい?」

「…え、い、いや、いいから。」

「冗談だっつーのなに狼狽えてんの?兄ちゃんだっせぇー!」


俺は兄ちゃんをからかうようにそう言って、ケラケラと笑った。

兄ちゃんは悔しそうに「くっそー兄ちゃんをからかうとは生意気な弟だ!」と言いながら部屋を出ていった。


「これがまた冗談じゃないんだなー。ねー?るいきゅん?」

「ねー。」


るいはにっこりと笑って、また「チュッ」と俺にキスをした。


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