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「…るいに睨まれんのすげえやだ。」
「睨ませてるの誰だよ。」
「…おれ。」
自覚ある。自覚あるから謝った。けど、そもそもこうなった原因はるいだ。るいが俺のを触ったのが悪い。俺の、晴らせない不満がこの結果を招いたのだ。
「…はぁ。」
また無意識に出てしまったため息に、るいは眉間にしわを寄せる。俺は、そんなるいから目を逸らすように黙って天井を見つめた。
「なにに悩んでんの?」
するとるいは、やっぱり俺のことをジッと見つめてそう問いかけた。るいはいつもまっすぐに俺のことを見る。
幸せなことだ。たくさんの人に好かれてて、人気で、誰もが手にしたいと思っている人が、俺のことを想ってくれてるんだから。
「るいに嫌われたくないから絶対言わねえ。」
「なにそれ。言えよ。」
るいに嫌われたら多分俺、学校生活終了のお知らせ。
「言わねえよ。言えねえからさっきあんな態度になっちゃったんだよ。だから許してね。」
「いや許さねーよ。お前知ってんだろ?俺って結構短気だぞ。俺が納得いくまでお前のことは許さねーよ。」
「……ふぁああ、眠たいなぁ。」
俺はゴロリとるいに背を向けて目を瞑った。このまま寝ちゃおっかな、そしたら朝がきて、余計なことも話さずに済む。…と浅はかな考えが俺はるいに通用すると思ったのだろうか。いや思っていない。るいのことはこの学校で一番よく分かっている自信がある。
俺の予想通り、るいは俺の顔に手を伸ばしてきて、再び俺の顎を掴み、るいの方を向かされた。
ベッドに腰掛けていたるいが、ベッドに寝っ転がる俺の上に、上半身を乗っけてくる。
胸元が触れ合った状態で、今にも唇が触れ合いそうな距離でるいは俺のことを見つめていて、でも触れ合わない状態のるいの口が、開かれた。
「お前寝たらどうなるか分かってんの?」
……え?どうなんの?
それは、素朴に感じた疑問でした。
一体寝たらどうなるんだろう。
分かんねえから寝ちゃおうかな。…だなんてバカなことを考えて目を瞑れば、るいは突然閉じていた俺の口の中に手を突っ込んできたから、俺は驚いて目を開けた。
「ンガ…ッ!」
「あーあーおバカちゃんだねぇ航は。」
目が笑っていないるいが、そう言いながら俺の身体の上に跨ってきて、俺の口に突っ込んた三本の指でふにふにと俺の舌を挟んだり揉んだりして触ってきた。
「ンアァ!!」
口が開いて、でも閉じれなくて、舌を触られている俺は言いたいことも言えず意味の持たない声が漏れる。
「んー?なあに?」
「ンアァ、ハッ…!」
なあに?とか言ってて喋らす気ねえよな、と思いながら喋ろうとする俺もバカだけど、そろそろ苦しくなってきたところでるいは俺の口の中から手を引き抜き、俺の鎖骨の上に両腕を置いて密着してきた。
おいおい、あなたちょっとすごい体勢なんだけど、俺をどうするつもりなの…。
俺は「ハァハァ」と呼吸をしつつ、ゴクリと唾を飲み込む。だってるいの股間が俺の腹の上に乗っかってんだもん、嫌でも意識してしまう。
「航、言って。」
にこりと笑ったるいに先程の話の続きをされ、俺はふるふると首を振った。
「言えよ。気になんじゃん。」
「絶対やだ。」
「もうすでにお前のダメなとこ見まくりな俺が、早々お前のこと嫌いになると思う?」
「思う。」
「ふうん?」
るいは俺の返答にそう俺の様子を窺うような目で見てから、ゆっくりと俺の顔に自分の顔を寄せ、るいの唇で俺の口を塞いだ。すぐに口内に舌を入れられ、俺の舌にるいの舌が絡みつく。
「ふっ…」と漏れる息と、声に、るいはニヤリと笑ってから舌を俺の口内から抜き、「言って」と囁く。
ふるふると首を振ると、また舌を入れられた。俺の口内を動き回るるいの舌に、俺の下唇にかぶさってくるるいの下唇。俺とるいの合わさった口元から聞こえる、水っぽいいやらしい音。
たらりとどちらのものか分からない唾液が俺の口元から溢れ出て、首筋まで伝う。
「言う気になった?」
俺の顔から唇を離したるいが、再びそんな問いかけをされるが、ぶっちゃけ俺はそれどころではない。
「ふぅ、…はぁ、」と呼吸をしていると、るいは「航くんやーらし。」と俺を見て楽しそうな声を向けてくる。
そして、「なあ、言ってよ。」としつこく問いかけられるから、呼吸が荒くなっててうまく喋れない俺は、ぶんぶんと勢いよく首を振って、言えないことをアピールした。
その直後、るいが俺の首筋に伝った唾液をべろんと舌で舐めとった。ビクリと身体が跳ね上がる。それを見たるいがニタリと笑う。
「言えって。」
「しつこい…!むりっ!」
「あーそういうこと言う。」
そう言ってるいは、俺の首筋にぬるぬると舌を這わせてきたから、俺の身体はぶるりと震えた。
「とっとと言えばいいのに。」
首筋に唇を寄せられたままるいが喋るから、息が当たってくすぐったい。そしてまたべろりと首筋を下から上へと舐められる。
くすぐったさに耐えるため、唇をきゅっと噛み締めて目を瞑ると、るいはそこで俺の首筋を舐めるのを止めた。
「そこまで頑なに隠されると逆に気になんだろうが。」
そろりと目を開けてるいの表情を窺うと、ムッとした顔でそう言われる。
「まじむりっ、お願い勘弁して…。」
「やだね。言うまで離さねー。」
そう言ってるいは俺の身体の上から退き、俺の上半身を起こして俺の背後に回り、俺はるいの股の間に座らされてるいは俺を後ろから抱き締めた。
胴体に回るるいの両腕。さらにるいは、後ろから俺の首筋に舌を這わせてくる。またもやぶるりと身体が震える。
なんだかエロすぎるるいの行動に、気付けば俺の股間は膨れ上がってしまっていた。
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