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「うはは!この写真航となっちすげえラブラブそう!」

「やべえ!矢田くん見たらどう思うかな?てか矢田くんって嫉妬する人?」

「矢田くんが嫉妬とか想像できねんだけど!」

「なっちくんもっと航にくっついて!あ、ほっぺたキスして!」

「え〜?こんな感じ〜?」


クソカベの言葉に悪ノリするなっちくんは、おんぶバッタの体勢のまま、俺の首に両腕を回してほっぺたに唇を寄せてきた。


それと同時にまた『カシャ』とカメラの音がして、俺はまた「なに撮ってんだよ!」とクソカベをじろっと睨みつける。


「わはは!バカップルみてえ!お前ら結構お似合いだぞ!」

「冗談言うな!お前ら俺を使って遊んでんじゃねえ!つかなっちくん重いんだよ!」

「えー、航前に俺の唇奪っといてそんなこと言うのぉー?」


なっちくんは実は球技大会で俺がなっちくんの唇にキスしたことを根に持っており、事あるごとにチクチクそんな文句を言われる。


いまだに俺の首にはなっちくんの両腕が回った状態で、「なっちくんいいぞ〜もっとやれ〜」という煽る声が飛んでくる中、部屋の扉がバタンと開いた。


「「「「「「あっ…」」」」」」


そして、俺を含む皆が口をポカンと開けて固まった。

何故なら、俺の部屋の扉を開けたのが、眉間に皺をガッツリと寄せてとてつもなく不機嫌そうで、とても怖い顔をしたるいだったからだ。


「…あれ、るいさんどうしました…?」


シーンと静まり返った空間で、俺が口を開けば、怖い顔のままのるいが俺に視線を向ける。

俺の首に両腕を回しておんぶバッタ状態のままのなっちくんは、俺の背中の上でカチンコチンに固まっていた。


俺の問いかけに答えず無言のるいは、腕を組んで扉に凭れかかった。


クソカベは何故かすげえ引きつった表情を浮かべながら、俺のスマホをスッと床に置く。


「…あ、お前アレ航の携帯で矢田くんに送った…?」


ボソッとモリゾーが小声でクソカベに問いかけると、クソカベは「うん…」と小さく頷く。


俺は二人の会話は聞こえず、何の話をしているのか分からなかったが、今この状況で分かったことは、るいがとてつもなく不機嫌で、怒っているということだった。


しかし突然、その表情は嘘だったかのようににっこりと笑みを浮かべたるいは、「わたるー。」と緩く俺の名を呼ぶ。

でもその笑みを浮かべていたのはほんの一瞬で、次に見た時にはもう元の無表情で怖い顔になっており、その顔のままクイっと顎で俺を部屋の外に出るよう促した。


俺はやや焦り気味になりながら、よっこらせと身体を起こすとなっちくんはゴロゴロと布団の上に転がっていき、俺は立ち上がってスススと部屋を出る。


俺が部屋を出たのを確認すると、るいは俺の自室の扉を閉めた。

部屋を出てすぐの便所の前に追いやられ、便所の扉に背を付くと、タン、と俺の顔の横でるいが腕を付いた。

グッと縮まるるいとの距離。

無表情のるいが、俺を見下すように近距離で見つめてくる。ちょっとこれは今までで一番こわいかも…。


「…るいきゅん、あの、…なんか、怒ってる…?」


ゴクリと唾を飲み込んでから恐る恐る俺は口を開くと、るいは無言でにっこりとした笑みを浮かべた。


やっぱ怖い、すげえ怖い、普通に怒られるよりも怖い、どうしよう…


とりあえず怖くて視線を逸らそうとちょっと頭の位置を移動させると、顎を掴まれて顔の位置を固定させられてしまった。

僅か5cmほどの距離で、にっこりと笑ったるいに見つめられ、俺はどうしようどうしようと視線を彷徨わせる。


「おまえ俺とえっちしたいんだ?」


暫しの沈黙を破ったのはるいで、ようやくるいが口を開けてくれたかと思いきや、そのるいの発言に俺は驚きで声を上げるが、俺の声は恥ずかしいくらいに裏返った。


「……へッ!?」


えっち!?え、いやそりゃしたいかしたくないかで言うとしたくないことはないけどでもするにあたっていろいろと心の準備ってやつが必要ですけどもでも、え、てかなにどうゆうこと!?


俺は突然すぎるるいの問いかけに、脳内パニック状態に陥った。


「わざわざメールで言ってこなくても直接言ってくれれば思いっきり可愛がってやったのになあ?」


まるで悪人のような笑みを浮かべてそう言ったるいは、突然俺の股間をズボンの上から片手で掴み、モミモミと揉んできたから、俺は思わず「ヒッ…!」と情けない声が出た。


え、なに、ちょっとどうゆうことだよ!意味がわかんねえんだけどアソコ勃ちそでやば、むり。


「…え、…ぁの、ぇ、……るい…?」


なにがなんだか分からん状態で股間をゆるゆると揉まれ、俺の頭はパニック状態で、恥ずかしくて、ちょっと気持ちよくて、気付けばちょっと涙が出た。


するとるいは、そろりと俺の股間から手を離し、ポケットから携帯を取り出して、俺に携帯画面を見せてきた。


どうやら画面に表示されているのは俺からのメールらしく、【 るいとエッチしたいよー 】だなんて恥ずかしくなることが書かれており、俺はギョッと目を見開いた。


これ絶対なっちくんの仕業だ!!!


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