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「口元の接触、更に相手への想いがこもってることを、俺の中ではキスとする。」


るいは片腕を俺の首に回したまま、俺のことをジッと見つめてそんなことを言ってきた。


なんと!この人自分論を語り始めたぜ!?いいのか!?そんなんで俺がはい、そうですか、と頷いていいのか!?

と困惑していると、るいはゆっくりと首を傾けて、俺の口元に自分の唇を寄せてきた。


触れるか触れないか、微妙な距離でるいの唇がその場で止まり、俺の目にチラリと視線を向ける。


「航、だいすき。」


そして近距離でそう言ったるいは、その後「ちゅっ」と俺の唇に口付けた。


すぐに離れた唇と、るいの腕。


再び俺に視線を向けたるいが、「今のは正しくキスだな?」と言って、椅子から立ち上がり元の席に戻る。


「…ま、まあ今のはキスだな。」


おいおいみんな見てるんですけど。

と視線を気にしてるのは俺だけか。

平然とした顔でまた俺の正面に腰掛けたるいは、「はい、だからこの話はもう終わりな。」とにっこりと笑って言った。


だからってなんだ、だからって。


俺はまだ納得しちゃいねえぞ!?


口元の接触はキスったらキスなんだよ!


つまり俺のファーストキスは、どう足掻いても会長なんだよ!!!


と思ったところで、いや待てよ?と俺は暫し考えた。


なるほど。口元の接触。さらに相手への想いがこもってたらキスか。


「……ふむ。言い忘れていたが、俺のファーストキスの相手もるいだった。」

「あ、マジ?やったあすげえ嬉しい。じゃあそういうことで。」


そう言って、残りの夕飯を淡々と食べ進めるるい。


なんか上手く丸め込まれた気がするな。と思いつつ、まあいいや。と俺ももうその話をするのは止め、残りのカレーライスを黙々と口の中に入れた。



過去はどうであれ、今るいと心のこもったキスができるのは俺だけだから、今が幸せならそれで良し、ということで。



「ところでるいさん、食堂利用者のみなさんがまじまじと俺たちの熱い口付けを見ていましたが、あなた平然とした顔をしているね?どういう神経をお持ちで?」

「航しか見えてなかった。」

「………ファー!!!!!」



俺は恥ずかし気なくそんなお顔が熱くなることを言ってきたるいに、文字通りお顔が熱くなりながら盛大な叫び声を上げると、るいにベシン!!!と強く頭を叩かれてしまった。


「航くんうるさいよ?」

「い、痛い……」


るいきゅんからの愛のムチ、痛い。



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