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ある日、るいきゅんが航を連れて家に帰って来てくれた。


なかなか連絡をくれない航だが、るいきゅんのおかげでこまめに連絡が取れるようになって、るいきゅんには本当に感謝している。


「るいきゅん今日の夕飯何食べたい?」

「んー…やっぱりカレーかなぁ。」


それは航の大好物の食べ物だ。

チラリと航に視線を向けてそう言ったるいきゅんは、クスリと笑い声を漏らす。


「航、昼寝しちゃってますね。」


るいきゅんの言葉に私も航に視線を向けると、ソファーに寝そべって目を閉じている航の姿が。


「すー…すー…」と寝息をたてて眠っている。


穏やかに時が流れる昼下がり。


「じゃあ航は寝かせといて、るいきゅん夕飯の買い出し手伝って?」


るいきゅんにそう声をかけると、るいきゅんは嫌な顔一つせず、にっこりと笑って頷いてくれた。


メモ用紙に【 るいきゅんと夕飯の買い出し行ってきまーす 】と書いて、冷蔵庫に貼ってから、るいきゅんと共に家を出る。


隣には、息子とそう変わりない背丈をした男の子。


知り合いやご近所さんが見たら『やだ!友岡さんったら若いイケメン連れてどちら様!?』だなんて驚かれそうだ。


「るいきゅんかっこいいから、女の子がすれ違うたびにチラチラるいきゅんのこと見てるわー。すごいなぁ。」

「…いやいや。そんなことないですよ、航の方がいつもチラチラ見られてますよ。」


るいきゅんを褒めれば、るいきゅんは謙虚な態度で、航のことを褒めてくる。

るいきゅんのこういう謙虚なところがとても好感が持てる。

更に母親にとって息子が褒められることはとても嬉しいことだ。

るいきゅんの返答はいつも期待以上の言葉ばかり。やっぱりるいきゅんは、理想の息子の嫁像だ。


「航もチラチラ見られてるー?それるいきゅん見てるんやでー。」

「いやいや、航も見られてますよ。」


るいきゅんと雑談しながら歩いていると、スーパーにはすぐに到着した。航がいると普段は聞かせてもらえないような話などもるいきゅんから聞けて、なんだか楽しい。


スーパーの入り口に置いてある買い物カゴを手にした瞬間、横からるいきゅんの手が伸びてきた。


「持ちます持ちます。」

「あ、ありがとね。」


いや、ここは買い物カートを使うべき?とも思ったけど、カゴを持ってくれるるいきゅんがイケメンなのでそのまま持ってもらうことにした。


にんじん、じゃがいも、たまねぎ、と野菜コーナーを順番に回り、手に取りカゴに入れていく。


「あ、航からメールきた。ははっ、航【 起こせよ! 】だって。」

「え〜?寝てた航に気ぃ使ってあげたのになぁ?」

「気持ちよさそうに寝てたから、って言っときますね。」


楽しそうに航へのメール文を打つるいきゅん。

航のこと、本当に好きでいてくれてるんだなぁとるいきゅんからはいつも感じて、るいきゅんを見てると嬉しい気持ちになる。


我が子を本当に好きで居てくれる人にこそ、一生を共にしてほしい。


だから、これからもるいきゅんには、航のことをお願いしたい。


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