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「りゅうおっぱいないし、俺が揉むならここだな。」

「えっ、ちょっ、倖多!?冗談言ってる場合じゃねえぞ!?」


このままじゃ俺、妙な気起こすぞ!?

もみもみ…って、おい、倖多ってば!

同じ男なら、俺が今どういう状況かまじでわかるよな!?いつまで俺のを掴んでんだよ!?


倖多がこんな悪ふざけみたいなことするとは思えねえし、まじで期待していいなら俺は今このタイミングで倖多に迫ってキスするけど。


でもその前に、倖多の方から顔が近付いてきて、チュッ、とキスをされ、俺は驚きで目を見開いた。

でもすぐに倖多の唇は離れ、近距離でジッと俺を見つめながら口を開く。


「冗談言ってないし、俺本気だから。」


そう言って倖多はまた、チュッと俺にキスをし、あろうことか俺のパンツの中に手を入れてきた。


「んぇッ!?」

「…めっちゃ硬くなった。りゅう我慢しなくていいから。」

「いやいやいやいや!!!」


やばい、確かにこれは、…倖多が本気だ。

このままだと確実に俺、倖多の手でイってしまう。


「もしほんとに付き合ったらさ、こういうこともするんだろ?りゅう相手なら俺、抵抗なくできちゃったな。」


倖多はクスリと笑って手を動かしながらそう話す。


「俺も結構、りゅうのこと好きになり始めてんのかな。…男同士だから、なんか変な感じだし、よくわかんねえけど。」


…ちょっ、うわ、やばい…っ


倖多の発言を、ちゃんと聞き取りたいんだけど、下半身に余裕が無い。

すでに我慢できずに流れ出てしまった液体で、倖多の手を濡らしてしまっている。

ぬるり、ぬるりと動く、倖多の手が、気持ち良い。


「…どう?俺結構いけてると思わない?」


全然余裕無い中で倖多に問いかけられ、俺は必死にコクコクと頷く。

すると倖多はまたクスリと笑い、その次の瞬間、倖多は俺が待ち望んでいた言葉を言ってくれた。


「じゃあもう、俺ら、付き合っちゃおうか。」


倖多からのその言葉を聞いた瞬間、俺は興奮が収まらない状態で、倖多の首に腕を回し、今度は俺からキスをする。

あまりの勢いで、倖多はふらりと背中から畳に倒れこむ。


倖多が畳に倒れ込んでも尚、俺は角度を変えて、何度も倖多にキスをする。


「まじ?…やべえ、すっげぇ嬉しい…本気で…?ガチな恋人になってくれんの?」


確認するように問いかけた俺に、倖多は照れ臭そうに「うん…」と頷いてくれた。



「てかりゅうちゃん。さっきのでイっちゃったな…。」


クスクス笑いながら倖多に見せられた手には、いつの間にか俺が吐き出してしまった白濁の液体が付着していた。


「いやもう、あんなの普通イクって。倖多から触ってくるとか思わねえし。めっちゃ興奮した。」


そう言いながら、部屋にあったティッシュの箱からシャッと1枚取り出し、倖多の手を拭く。


「今度は倖多の尻揉ませろよな。」

「…いやいや。それはちょっと…。」

「いやいや…じゃねえから!今後!倖多に拒否権はない!」

「いやあるでしょ。」


…くっそぉ…、やべえなぁ…

なに話してもにやけてしまう。


「じゃあそろそろ祥哉先輩呼んでこようか。待たせちゃったし。」

「えぇ、もうちょっと2人で居たい。」


欲を言えばマジな付き合いが始まった今、もっと倖多に触って、永遠にイチャイチャしたい俺なのに、倖多はクールに「でも先輩に出ていってもらってて悪いから。」と言って立ち上がり、部屋を出ていってしまった。


しかし倖多が部屋を出ていったあとも、俺の口元はひたすらにやけたままだった。


「こうちゃ〜ん、早く俺に尻揉ませてね。

…なんつって。」


でへへ、と一人ニヤける俺は、我ながらかなりキモいと思った。



「隆〜、新見にちんこ慰めてもらったか〜?」


倖多が祥哉を呼びに部屋を出て数十秒後、にやにやしながら部屋に戻ってきた祥哉に向かって、俺はグッと親指を立てた。


「てか聞け祥哉!俺と倖多ガチで付き合うことになったから!!!」

「マジ?よかったな。」


万歳をしながら祥哉に報告すると、パチンとその俺の手にハイタッチをして祝ってくれる祥哉は、その後部屋に置いてあった祥哉の荷物を手に取る。


「じゃ、今日こそ部屋チェンジだな。あ、静かにやれよ?壁薄いんだから。」


おお!!祥哉!!!良い奴すぎかよお前!!!

荷物を持って部屋を出て行った祥哉に続き、俺も自分の荷物を取りに行くために一度部屋を出る。


自分の荷物を持ってすぐに部屋に戻ると、そこではまた倖多と二人きりな状況に、俺は顔が自然とにやけた。


キスしたいな、倖多こっちこーい。…って、俺は倖多をガン見していたが、倖多は俺を一切見ずに「布団敷こ。」と言って布団を敷き始めた。


おーい、倖多ってば。こっち見ろ。


あまりに倖多が俺を見ないから、黙々と布団を敷いている倖多の背後に忍び寄り、ガバッと後ろから抱きついてやった。


「うわっ!」

「倖多つっかま〜えた〜。」


敷きかけの布団の上に倒れ込み、倖多の身体をがっちりと抱き込んで、足を絡める。


今日から俺の、ほんとの恋人。

それを確認するかのように俺はその身体に触れ、実感する。


無言の倖多が気になって顔を覗き込むと、倖多は頬を赤くして、チラリと控え目に視線を合わせてきた。


「こぉちゃんイチャイチャしよ?」

「…聞く前からもうやってるよな。」

「一方的なのはイチャイチャって言わねえの。」


そう言うと、倖多は少し考えるような素振りを見せ、その後チュッと軽く倖多からキスしてきた。

けれどすぐに離れてしまった倖多の唇。


「はい、イチャイチャ終わり。とりあえず布団敷かね?」

「いやいや、全然物足んないから。」


今度は俺から、倖多の後頭部に手を添えて、倖多の唇に口付ける。


「ちょ、りゅぅ、んッ…!」


開いた口の隙間から舌を入れ、倖多の舌と絡ませると、息苦しそうに悶えている倖多がたまらん。

倖多の唇を堪能した後、そっと唇を離し、荒い息遣いと紅潮した倖多の顔を間近で観察して楽しむ。


「りゅうさぁ、…ちょっと、宿舎では自粛しよ?また副会長来ちゃうかも。」

「え〜、無理〜、今ちょっと倖多のこと離したくない。」


付き合いたてが一番嬉しい時なのだ。

今は思う存分、倖多とイチャイチャしていたい。


けれど俺が、そうやってわがまま言って倖多を離さなかったから……


コンコン、と部屋の扉がノックされ、

突然ガチャッと豪快に部屋の扉が何者かによって開かれてしまった。


「生徒会役員ちゃんと居るか〜?あ、鍵開いてるぞ、ちゃんと閉めてから寝ろよー………って、

………なにやってんだお前ら。」

「「…あ。」」


副会長どころか見回りの教師に俺たちの部屋を開けられてしまい、その瞬間倖多の身体をがっちり抱え込んでいた俺は、『やっべ。』と冷や汗が流れた。


「あ、お前らそういや付き合ってるんだったな。」

「…え、…あ、……はい。」

「かと言って、性行為は禁止だからな。瀬戸、2年でしかも生徒会役員のお前が秩序を乱す行動はするなよ?」

「……あ、…はい。」

「…と言っても、俺は我慢しろとは言わん。するならバレないようにやれ。できないならするな。いいな?」

「…あ、はい。」

「じゃ、もうすぐ就寝時間だから。部屋から出んなよ。あと鍵かけろ。」

「…はい。」


教師はそれだけ言って、ガチャと扉を閉め、出て行った。俺はその後すぐに立ち上がり、扉の鍵を閉める。

…なんで昨日副会長で学んだはずなのに鍵閉めなかったんだろう俺のバカ。


「…ほらー、だから言わんこっちゃない。」


顔と、耳まで赤くなっている倖多にジト目で睨まれ、俺はさすがに反省し、何も言えなくなって暫く黙り込んだ。


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