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同じクラス、さらに寮では同室の小池 尚弥は、何故か俺を目の敵にしている。

向けられる視線はやたら冷たいし、チクチク嫌味を言われたり、俺がクラスメイトと仲良くするのを邪魔してきたりする。

相手にするのも面倒で、人との関わり自体を減らすと、ちょっとは小池の目も俺に向かなくなったと思う。

けれどそれと引き替えにすっかりつまらない日常、楽しくない学校生活となってしまった。


一人は楽だけど、ほんとは友達とわいわい賑やかに過ごしたい。


そんなことを望んでいた時に目に留まったのが、違うクラスの矢野くんと早見くんだ。

いつも楽しそうに2人で過ごしている姿をよく見かける。違うクラスなのに、その賑やかさから自然と目につく。

時には口喧嘩のような言い合いしていたりしても、その数秒後にはすぐに元通りの会話に戻っている。

仲良いんだなぁ。って、見ていてなんだかそれだけで、不思議とちょっとだけ楽しい気分になれた。


俺のクラスメイトの間でも、よく彼らは噂されている。特に矢野くんはイケメンでかっこいいともっぱらの噂だ。


矢野くんは眼鏡の人と仲が良い、なんて話もよく言われているけど、その眼鏡の人こそ、実は自分が気付けば目で追ってしまっている。


眼鏡の奥で目を細めて笑っている表情が、素敵だと思った。

いつも見れるわけではなく、矢野くんとの会話の中で、ふとした時に見せる表情。

もっと近くで見てみたいな…、なんて。

話したこともないのに、彼が気になってしまうのは、ちょっと変かな。


つまらない日常の中でも、彼を見ただけでちょっぴり幸せな気持ちになれたのだ。


そんな彼らと初めて接点を持てたのは、自分の不注意から。

正面から歩いてきた彼らに目を奪われてぼんやり廊下に突っ立っていた俺は、矢野くんとぶつかってしまった。


今までずっと遠くから見ていた彼が、近くにいる。

俺は暫し、彼に見惚れた。


一見、無愛想な感じに思える態度、表情でも、俺の胸はドキドキと音を立てている。


その時俺は、『ああ、俺、この人に恋してるんだ』って自覚した。

やっぱり変かな。
ただ遠くから眺めていただけの人なのに。


もっと彼に近付きたい。仲良くなりたい。

矢野くんみたいに、

あの時見た笑顔を、自分に向けられたい。なんて。


そんな欲が自分の中に現れてから、つまらなかった日常に、自分の中で突然ボッと火がついたような、活気ある生活に変わった。


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