四組目・カイム&ユア
夏だ!花火だ!肝試しだ!(完結)

*昴とアメリが戻ってくるのを待っていたかのように、続いてカイムとユアが出発した。*

ユア
「――肝試しだなんて、東の方には面白い遊びがあるんだね」

カイム
「ふん。東の方には、未だに俺たち竜の存在すら信じていない国もあるからな。己の目で見た事がないものに対して、強く恐れを抱いているのだろう。その恐怖心を利用して、遊びに昇華することが出来るめでたさだけは、感心するがな」

ユア
「アーリアはとても広いものね。じゃあ、そのカイムたちを見たら驚くのかな」

カイム
「お前を見ても驚くだろうな」

ユア
「どうして?」

カイム
「これ」

ユア
「あ、そっか……羽根……」

カイム
「天狗だなんだと言われて怖がられるのは必至だろうな」

ユア
「てんぐ……って?」

カイム
「東の地方に伝わる妖怪の名だ」

ユア
「羽根が生えてるの?」

カイム
「ああ。あと、長く赤い鼻を持っている」

ユア
「……私、鼻長い?」

カイム
「長くは無いな。高くも無いが」

ユア
「っ、っぷ。ちょっと、鼻摘むのやめて」

カイム
「ふっ、赤くなったな」

ユア
「カイムが摘んだからでしょう!?」

カイム
「ほう? 以外に摘めるほどの高さはあったな」

ユア
「何を子供みたいなことをしているの。やり返すよ?」

カイム
「やってみるがいい」

ユア
「言ったね。えい!」

カイム
「………………どこを摘んでいる」

ユア
「ふふ、ほっぺた。あれ、案外伸びないね?(むにむに)」

カイム
「やめろ。倍にして返されたいか」

ユア
「駄目。それじゃあフェアじゃないでしょう。これでおあいこだよ」

カイム
「ふざけたことを」

ユア
「きゃっ!!? ちょっとカイム! これでおあいこって言ったのに!」

カイム
「お前の決めたルールに従う気など毛頭ない」

ユア
「そんなのずるい!」

カイム
「さっさと行くぞ。このしょうもない遊びを早く終わらせたい」

ユア
「でも楽しいよ。昔を思い出すもの」

カイム
「…………」

ユア
「カイムは思い出したくないかもしれないけど、シウバがいて、グレンがいたあの頃のこと。みんなでクレルデルヌの森に行った時のこと、覚えてる?」

カイム
「…………グレンが一人迷った時のことか」

ユア
「そう! その時! カイムが探してきてくれたんだよね。私とシウバは小屋の外で待ってて……。カイムってば五分もかからない内に見つけてきてくれて」

カイム
「そういうこともあったな」

ユア
「ねえ。不思議だったんだけど、どうしてあんなに早くグレンを見つけることが出来たの?」

カイム
「泣かれると面倒だからな」

ユア
「グレンは泣いたりする人じゃないよ? ……まあ、あの頃はちょっと女の子みたいだったけど」

カイム
「違う」

ユア
「え?」

カイム
「お前に泣かれると面倒だ」

ユア
「…………」

カイム
「お前の泣き顔など見たくない。……そう思っているんだが、…………いつも、泣いているな」

ユア
「私、泣いてなんかないよ」

カイム
「泣いている」

ユア
「……え」

カイム
「俺には分かる」

ユア
「……カイム」

カイム
「――――、…………あれが蝋燭を立てる場所か。お前はここで待っていろ」

ユア
「…………うん」




ユア
(…………もしかして、照れた?)

ユア
(カイム…………)






弥一
(……ここまで色々打ちのめされたのは久しぶりかもしれねえ)

久世
(おかしいですね。肝試しなんですか我々の肝が試されています)

試帆
(はぁぁぁん煌竜王様ってば本当にいい男ん……)

ウェラー
(………………お前たち…………)



※肝試しの本筋が迷子でした。


prev next

bkm


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -