三組目・昴&アメリ
夏だ!花火だ!肝試しだ!(完結)

**順調に二組がろうそくを立て終える中、三組目の親子が出発しようとしていた……**



久世
「ベリちゃんもライザー卿も早かったですね。もっとしけこんでくるかと思ったのですが……」

ベリー
「簡単だったよねえ〜。道も複雑じゃなかったし〜」

ライザー
「……まあな」

レオン
「その割りには、なんだか疲れた様子デスねえ。何かありマシた?」

ライザー
「っせえよ。お前の方は変に遅かったな。ガキに何かしたのか」

結苑
「っ!! な、なにもありません! 私が歩けなくなるほどぐったりしてしまったので少し休憩したいただけでもうお尻も腰も痛くないので平気です!」

ベリー
「えっ」

レオン
「あれくらいで気絶してしまうなんてびっくりデスよ。結構(運ぶの)キツかったデスよほんと(にやにや)」

結苑
「ひゃああああああ!!!(真っ赤)」

ヒル
「……レオン、お前……」

レオン
「なんデスかその冷めきった目は。親友に向かってなんて目をするんデス」

ヒル
「お前は昔から年下に人気があるな(ヒソヒソ)」

レオン
「何の話デスか。想像しすぎデスよ」

リリスティア
「……しかし、やはり相当過酷なのね肝試しは……。尻を痛め腰が砕けてしまうほどのものとは……肝試し……侮れなくなってきた」

ヒル
「なら、少し予行演習をしてみるか?」

リリスティア
「予行演習?」

ヒル
「ああ。腰を砕けさせて立てなくさせるくらいなら簡単に出来る

リリスティア
「そうなの? しかしそれでは公平では無い気がするけど」

ヒル
「大丈夫だ。俺のは少し種類が違うからな

レオン
「放置すべきか突っ込むべきか分からないので今から君を冷めた目で見続けることにしマス」

ヒル
「そんな目で見るなよ(笑)」

ライザー
「仲良いよなテメェら……」

レオン
「なんデスかライザー君〜。ほ〜ら寂しいならこっちいらっしゃ〜い」

ライザー
「きめぇぇぇええ!!! やめろ触んなきめえ!!!」

ヒル
「よしやれレオン」

ベリー
「あはは(笑)ライザー、ヒル様と並んだら案外小さい〜!」

ライザー
「笑い事じゃねえよ!!」

ユア
「仲良いよね、ヴァイスの皆って」

カイム
「ふん。くだらんな」

久世
「──あれっ、次は昴様の番ですが……昴様は?」

リリスティア
「もうとっくに出たぞ」



**********





「……アメリ」

アメリ
「はい」


「何故、急にこのようなことに参加する気になったのだ?」

アメリ
「弥一に誘われまして。楽しそうでしょう」


「……お前は、その、俺がいない間、久世たちとどんな生活を……」

アメリ
「あら、今更気にしていますの?」
※悪気なし


「…………」

アメリ
「普通ですわよ。久世も詩帆も、妹のように可愛がって下さいましたし。弥一もまるで専属の護衛のようにぴったりと……


「…………!?」

アメリ
「よく結苑や奏苑を交えて、夏に肝試しをしました。南領の暁山にある神社に行ったりしましたわ。私も小さい頃はまだ怖くて、泣くことの方が多かったのですが、その度に弥一が


「…………」

アメリ
「弥一も今ではすっかりよき青年になりました。ウェラーを支える御庭番の虎として、これかからも頑張っていただかなければ」


「…………アメリ」

アメリ
「はい?」


「……、…………いや、やはりいい」

アメリ
「変なお父様ですわね」


「(アメリの弥一に寄せるこの信頼はなんなんだ……。下手をすれば父親の俺よりも……)」

久世
(由々しき事態ですね昴様)


(お前本当にちゃんとアメリを見張ってたんだろうな)
※読唇術っぽいもので会話中

久世
(失礼な。弥一も私も真面目にアメリ様についていましたよ。きっとあれですよ。弥一君はアメリ姫のような清楚な女性に対してだと紳士モード炸裂させるです。そして当時頼れる年の近い男性は弥一君のみ……)


(ウェラーもいただろうが……)

久世
(後から来た彼はどっちかって言うとペット扱いでしたね。あとウェラー君は娘には会わないくせにお父様にちやほやされてたという理由から若干嫌われてました)


(お前……それをウェラーには言うなよ……)

久世
(言いませんよ。自分が嫌われていることにも気づかず犬のように尽くすウェラー様とか面白すぎて(笑))


(…………なんというやつだ)

アメリ
「さっきから何をぶつぶつと言ってらっしゃいますの?」


「いや……。問題ない」

アメリ
「それより、蝋燭を立てる所が見えてきましたわよ。あれですわよね?」


「そのようだな」

アメリ
「ここまで何もありませんでしたわね」


(俺の肝は幾らか冷えたがな……)

アメリ
「火をつけて……これでよし、ですわ。どうか無事に帰れますように(パンッパンッ)」


「…………拝むものなのか?」

アメリ
「(ハッ)つ、ついやってしまいました……」


「まあ、何も無いとは思うが。お前相手だと、御庭番衆も遠慮するだろう」

アメリ
「それでは面白くありませんわ。もっと身の毛が弥立つような演出をしてくださいませんと」


「…………蛇、とか?」

アメリ
「あ、あれはちょっと……。怖いの種類が違います」


「種類ってなんだ」

アメリ
「ですから、……ああもう。お父様、それくらい察してくださいまし!(北東の戦いを思い出して泣きそうになるなんて……言えませんわ)」


「…………」←分からない

アメリ
「……お父様は、幽霊や妖怪は怖くないのですか?」


「そうだな。俺たち自体がそう呼ばれていたわけだから、特には」

アメリ
「あら。ではこの催し自体、あまり楽しくないのでは?」


「いや……」


(娘とゆっくり、こうして肩を並べて歩くことが出来るんだ)


(……楽しくないわけがない)

アメリ
「お父様って本当に黙りこむのが癖になっていますわね。少しは思っていることを仰って下さっても良いのでは?」


「…………何も思っていない」

アメリ
「いいえ、私には分かりますのよ。何かよからぬことを考えている時、この口元が弛んでいますのよ(つんつん)」


「こら、やめろ」

アメリ
「ふふ、お父様の嘘つき!」





弥一
(えええええええええええ何この展開いいいいいいいいいい)

久世
(かつてないデレですね……かつてないデレですよ……)

詩帆
(…………いいえ、これは……)




アメリ
「ところでお父様、そろそろ新しい刀が欲しいんですけど


「………………え。だがお前、この間一振り……」

アメリ
「既にハギリさんに発注済みですのでよろしくお願いしますわ」
※刀マニア


(高…………)

アメリ
「お父様のように立派な剣豪になりたいのです。……いけませんか?」


「いや、まあ、そういうことなら……」

アメリ
「そう言って下さると思っていましたわ! 有り難うございますお父様!」


(………………高…………)

アメリ
「小さいですわよお父様」


「ビクッ」




*昴の肝は大分冷えました。


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bkm


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