23話










「…サンジ兄、どこいったんだ?」




出ていく時のサンジ兄の目には涙がにじんでいた、きっと今頃どこがで泣いてるかもしれない。そう思うとはやる気持ちを抑え、短い足の動かしずらさを感じながらも俺は先を急ぐように歩いた。




「アクリ」


『?』



船内のどこにも見あたらない中、もしかしたら外にいるかもしれないと外に出ようとした俺を背後から呼び止めるように声がかけられた。




『じいちゃん?』


「サンジなら甲板にいる。」




振り向いた先にいたのはじーちゃんで、俺が振り向くなりそう告げた。



『そっかありがとう、行ってみる』



教えてもらった場所に急いで向かおうとしたとき、もう一度じいちゃんから声がかけられた。




「…………アクリ」


『なに?』



「おめぇはオールブルーを信じているか?」



『……………………』




まっすぐ俺を見つめるじいちゃんを俺もまっすぐ見つめ返す。





オールブルー、確かに話だけ聞くと幻のように思う。この4つの海に別れた海の生物が集うなんて信じられない気持ちもわかる。

だけど俺は…………




『…………俺はあると思うよ』


「そうか…………」



そう告げた俺にじーちゃんはもらす。




『それに…………………』



俺はそんなじーちゃんに一度口を閉じると口角を上げた。



『それに……………火のないとこに煙はたたないもんだろ?』




にやりと笑って告げた俺の言葉に目を瞬かせたじいちゃんもにやりと笑って「ちがいねぇ」と返した。




「ふてくされたはな垂れにさっさと仕事しろと伝えておけ」



そう言うとそのまま元来た道をじいちゃんは戻っていった。





俺はそれに頷き返し甲板へと急ぐことにした。






23話

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