16話
『……………………………』
どうしたもんかな……
さすがにパティとカルネといえど簡単にじーちゃんに会わせていいもんか…………
俺がううん……と悩んでいると背後から今まさに呼びにいこうか迷っていたじーちゃんの声がした。
「がきんちょっうるせぇぞっ!!何してやがる!…………?…なんだぁ、こいつらは」
怒鳴りながら近づいてきたじーちゃんは俺の横にたつと俺の前で土下座しているパティとカルネの存在に気付いた。
『じーちゃん、この人達じーちゃんに会わせてくれって』
そういうとじいちゃんはちらっとこっちを見てからパティとカルネに向かって口を開いた。
「てめぇら、なんのようだ」
「っ!あ、あんたがあの赭足のゼフかっ!?」
「…………そうだ」
一度顔をあげた二人はまたすぐさま慌てて頭を下げた。
「たのんますっ!俺たちをここで働かせて下さいっ!」
「おれたちゃぁ、あんたに憧れてるんだっ!たのんますっ働かせてください!」
必死にいい募る二人に俺はじーちゃんの方ををちらっと見た。
じーちゃんの横顔はじっと二人を見定めているかのようで、何分たったかわからない頃、やっとじーちゃんは口を開いた。
「……ここは生半可な覚悟で働ける場所じゃねぇぞ」
「はいっ!」
「時には海賊どもやごろつきと戦うことにもなる」
「戦いなら任せてくださいっ!」
「最後までついてくる覚悟があるんだな?」
「「はいっ!」」
「……………………」
パティとカルネの覚悟を聞き、最後にじーちゃんは一服おいてから、くるりと背を向けた。
「ついてこい」
「っ!!は、はいっ!」
そんなじーちゃんに、パティとカルネは満面の笑みを浮かべ喜び勇んでじーちゃんの後についていった。
『……貴重な場面に遭遇したなぁ』
まさか、あのパティとカルネの仲間入りの瞬間を見られるなんて。
早起きはしてみるものだと、年より臭いことを思いながら俺は甲板掃除にせいを出した。そのさい、船内から聞こえた二人の争いの声とじいちゃんの怒鳴り声+なにかが吹っ飛ぶ音は聞こえない振りをした。
16話