Last*Lost
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帯刀禁止令


「おい、タクト、今時間あるか?」


「今日のノルマは終えてます。今から瞑想だったんですが…」


「あー、それは後だ。
今、お前に元服の儀でやる刀の話、いいか?」


「もちろん。」



父さんは俺の隣のゴツい岩に腰掛けた。






暫く言いづらそうにして沈黙が続いた後、父さんの口がゆっくりひらく。

「あー、お前にやる刀なんだけどな、実は曰く付きのやつでな、」


「あはは、まさか血を吸うとかそういう冗談だけはやめてくださいね」


軽く冗談を飛ばす。


「冗談だったらよかったんだが…」


「…え?」



ぴしり、と空気が固まったような感覚。父の姿を思わず食い入る様にみつめて、嘘だろと目で訴える




「いや、ま、血を吸うというか生命力を吸うというか」


すごく嫌な予感しかしない


「念を、吸うんだよ」




父さんはそういって頭をぽりぽりかいた。









どうやら梅篷では元服が近づくと念の存在だけはきちんと説明して貰えるらしい。
精孔を開くのは自力で、ヒントはなし。才能だけの世界だと父は言っていた。



無理やりはやっぱ危険だからしないんだな…しかしそうとなると俺どうするよ



父さんは「お前は開くのもすぐだろう」とか言ってるけど! 無茶言うし!





そう、そして、だ。

最低条件、纏が出来ないと、その刀は帯刀させてもらえないという。


サクジにいさんがにへらと笑った理由がよくわかった。



要するに元服迎え一人前のはずの俺が刀を持たせてもらえないことを嘲っていたのだ。


自分も念を使えないのに。





まぁ、父さんが念を覚えたのが30ちょっと過ぎてかららしいし、

今20過ぎたとこのサクタにぃはまだ使えない。





世の中には12でかなり凄いのもいるのにね?
俺のハンター知識はどうやら一般的な見解とは全く違うらしい。あぁくわばらくわばら。


ゴンたちは天才だったのか、いや、化物か?








屋敷の蔵で念についての書物を漁っていた。
するとこちらに向かう影。


「サクタにぃ…」


「タクト、元服、おめでとう。今日は赤飯らしいからな。
ん? その書物…あぁ、もう話、きいたのか。」


「サクタにぃ、俺普通の刀がほしかった…」


サクタにぃの手が優しく頭をなでる。


「あれ、梅篷家にある刀では結構価値高いんだからな。俺は羨ましいくらいだよ。

サクジやサクミツは多分知らないだろうけど、その刀何でできているかも誰が作ったかも全て謎だってのに国宝になりかけたくらいらしいから。強さは保証できるし。」


なんだそれ聴いてないしなんとも物騒な…


「だから、がんばってな」



また頭を撫でられる。俺もう15なのになとか考えつつ、その手の温もりに癒されていた。





  






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