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Looking For


ないっ!ないっ!ないっなああああーい!


えっ?
何がないってそりゃああれだ、イル兄にもらったピン留がないの!


ま、心当たりはあるよ?
風呂はいるときちょっと目立つところにピンおいてたし、(ちなみに風呂は広い温泉。脱衣所も広い)
不自然な影と物音は湯に浸かりながらでもきこえたし。


まぁ湯に浸かるっていいなぁとかかなり気楽なことを考えていた俺は、その物音を気にもとめてなかったんだけど。


で、女中さんは次男であるサクジにいさんが俺が風呂に入ったのを見計らって脱衣所に入っていたんだと。
流石の変態行動に女中さんも止めようかとしたらしいけど、風呂は一応本家家族共用となってるし、家内ではなかなかの権力もってる次男にお咎めいれるだけで何されるかわかったもんじゃないから
見て見ぬ振りしていたらしい。



ま、それで良心痛んで俺にそれを教えてくれたんだからいい人なんだろう。








ちなみにそのサクジにいさんはというと


…………食事中こっちニヤニヤみてるんですけど俺が元気ないのがそんなに嬉しいですか畜生!




食べ終わって自室に戻ろうとしているところをタクトは右手首を掴んで引きとめた。



「サクジにいさん、覗きに泥棒とはいい趣味ですね」


ぴくり、と眉が動く


「もう気づいたか。ま、お前のお目当てのものはここにはもうねぇけどな」


あっさりと白状し、ニヤリと笑うサクジ。



一瞬、どういうことを言っているのかわからなかった。


「ん? そんなに大切なもんだったのか? あんなちっちぇえ女もんの髪留めが。」



サクジの手首を掴んでいないほうの手が、一層強くぎりりと握りしめられる。
それに気付かないのか、サクジはさらにまくしたてた。


「まぁお前の趣味だもんなぁ、女々しいことで。本当、父様もどうしてお前みたいな武家には似合わん男を養子にしたのやら。」



その嘲りをかき消すように、低く、重々しくタクトは声を発した

「…おい、どこにやったか場所を答えろ。さもないと血をみることになる」


「はっ? なにいって…」


そこでタクトの目をみて、雰囲気がいつもと違うことに気づいたサクジの目は恐怖に染まっていた。




「お、俺は知らねぇよ。どっかにやっちまったんだ!」


「だからそれはどこだと聴いている」


「知らねーんだって! なんせあの《霊障の森》に投げ棄てたんだから!」



《霊障の森》

そうきいてタクトは眉間に皺をよせた。

表向きは『もとは普通の神社の普通の鎮守の森だった場所だが、いつぞやに邪念がその土地に宿っていた神を侵し、いわゆる祟りやら障りを起こすようになった場所』らしい。

俺はあんまり神の祟りや障りを信じる気はないので実際のところは死者の念がかかっているんじゃないかと踏んでいる

もちろんそこは危険区域になっており、一般の者は立ち入れない。
それこそ入れるのはハンターや一部関係者のみという話で。



「……あんた最低だな」


そう吐き捨てタクトはその場を去った。







  






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