Last*Lost
あんぶぅとぅるあああぁぁぁ…
今日から暗部で年の近い子が相手してくれるとはきいていたけど、まさか自己紹介もなしに切りかかってくるとは思わなかったわけで
うっかり無意識に一発手刀くらわしたらのびちゃって。
俺の修行、どうすんだろ。
ため息をつきながら近くの小川で手ぬぐい濡らして
手刀によってちょっと赤くなっている首を冷やした。
大丈夫、だよな?年の近い奴っていっても暗部だし実力はあるんだろうし。
しかし暗部にもいるんだな、八歳児。
ツンツンの短め頭に眉毛濃くていかにもキャラ濃いですよ、ってかんじだけど。
てか顔だけだと八歳にはみえねーよ!
というか年の近いってことだから同じとは限らないのか。
とかなんとか自分の中で悶々と考えていたら不意に背後から近づいてくる気配がした。
「誰?」
声は響いて落ちた。
残るのは静寂。
いや、本当誰だよ。誰が小川にこようといいといえばいいんだけど
なんかこの人気配消そうとしてるし…
「気配あるんだから、いるんでしょ?
出てきてくれないと敵とみなすけど」
かさりと木々が揺れ17歳くらいの青年がでてくる。服装はいかにも暗部。あ、いきなり襲ってきたやつの知り合いかな
「うちのハンゾーが世話をかけたようで、申し訳ない。
俺が君の相手をすることになったタツマだ。」
へー、こいつハンゾーっていうんだ。
そういや漫画にもハンゾーっていたな。忍者内でハンゾーって名前流行ってるのかな
というか俺の相手…このひと?
年の近いっていってたじゃないか、これは違いすぎないか?
「俺、年の近い人がきてくれるってきいたんですけど」
「あぁ、そうだったな…
だがあいにく子供で暗部の実力者は少ない。ま、でも一度は同い年のこいつが行くってことで話はまとまってたんだ。
それをお前の家の長男が『弱い奴に相手してもらっても修行にならないからタツマに頼みたいな』とかほざきやがったんだよ」
なにいってんだサクタにぃ!
「というか…タツマさんサクタにぃと知り合いなんですか?」
「敬語もさん付けもいらない。
ま、サクタとは腐れ縁だな。武家と暗部の縁もあるし、小さい頃から修行仲間だ。」
へぇ…
「ま、それで俺が行くことになってハンゾーは自分の実力不足の認めたくなさに、
『お前を襲って勝てれば実力認めて貰えて修行相手としてみあっていると判断してくれるだろう』とか素敵な発想に至ったらしくてな。」
「それはそれは…」
まぁ、確かに失礼だよね。同い年なのに俺をかなり格上みたいにサクタにぃが話していたとしたら。サクタにぃ、身内の自慢好きだし誇張するからなー
実際そんなに俺強くないと思うし、ハンゾーの発想もごもっとも。ま、でもハンゾーじゃ物足りなかっただろうことは多分そうだろうけど。
でもこういうやつほど頑張るし強くなるだろうな。
そう思ってハンゾーの髪を撫でたらちょっと硬い犬の毛みたいにもふもふしていた。
と、ハンゾーの目がぱちりとひらいて俺と目が合い身を引きタツマと目があい怯えたような顔をした。
「ハンゾーおはよう。
お前仕事もないのに里の外にでて、梅篷さんちの末息子さん襲うたぁどういうことだかわかってるよなぁ?」
タツマの目の笑ってない笑顔にハンゾーは凍りついた。
俺、修行のときはなるべくタツマ怒らせないように頑張るよ。
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